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北上ツーリング 2001年8月31日-9月21日

※文中の()内の数字記号は昭文社刊ツーリングマップル(2000-2001年度版)のページ/エリア番号です。

出発編

まずは準備

わが愛車、Bandit250でどこまで北上出来るか?

まずは時間を作るため、会社を辞める事に(笑)

って、笑い事ではないのだけど、我ながらこういう思い切りはいい。その是非は別だが・・。

実際、仕事(電気工事業)をする上での安全対策や、事故が発生した時の対応のトロさでトップと衝突していた事もあり、再就職を考えた場合、今の年齢から考えても長居出来ないなと感じていたので、今回のこれはむしろ好機の部類に入れても良いと思っている。

日程は約1ヶ月弱とし、予算は手持ちの18万。当初はもっとお金を掛けるつもりだったけど、降ってわいたようなシロアリ駆除費やら何やら、予定外の出費があったので仕方ない。もっとも全日程野宿ベースのつもりだし、チャンスがあれば知り合いの家に(タダで)泊まれるかもしれないので、気にしない事にする。なに、あの賀曽利さんだって、かつて10万円で日本1周してたじゃないか。

地図

あとは旅道具の準備。といっても、いつものバイクキャンプ道具に着替えを少々足すくらいだ。オートバイへの追加仕様としては、携帯電話の充電用にBandit250のバッテリーから電源線を引き出しておいた。これでコンセントが使えなくても走行中に充電出来る。意外にやっかいなのが地図で、昭文社ツーリングマップルを全国ぶん7冊もまとめるとかなり重く、収納場所にも困った。こんなときは昔の小型マップルが懐かしく思える。

Bandit250の点検はいつもの通り行う。リアのブレーキパッドが少々薄くなってきているが、当分は大丈夫と判断した。もし無くなったら道中パーツショップを探せばいいだろう。

さて、出発予定は8月31日、まずは宮崎港からフェリーにて大阪まで渡る事とした。これは9月の1,2日に関西の友人たちが滋賀県あたりでキャンプをするというので、それに参加するためだ。昨年の夏は関西圏まで16時間かけて自走したけど、今回はちょっとサボって海路を使わせていただく。長旅ゆえ体力の温存も考えなくてはならないし、フェリー移動なら高速代もガソリン代も必要ないから、経済的にも多少有利だ。


2001年8月31日

旅立ち

国道10号線都城

31日の昼すぎ頃、家族に見送られて自宅を出発。天気は快晴で、まさに旅立ちにふさわしい。

川内市街地から県道42号(通称空港バイパス)を東に進み、R328を横切ったあと祁答院(けどういん)の深い林を抜け、九州の東岸を縦に連絡する動脈、R10に達する。

ここまでが約1時間、すぐ目の前は錦江湾が光り、桜島が噴煙をあげている。

(九州:P73/H-3)

あとはこのR10をひたすら東へ進めばよい。フェリーが出る宮崎港まではいつものペースで2時間くらいだろう。途中の国分市や都城市で市街地の渋滞にひっかかると、強い日ざしも加わってデジタル水温計の表示がイッキに跳ね上がり、時折100度くらいになる。明日から9月とはいえ、まだまだ南九州は真夏なのだ。

宮崎市内に入るころはもう夕方も近く、帰宅ラッシュが始まる頃。市内の車線はわりと広く、流れ出すと意外にハイペース。

宮崎駅前を右に折れ、大淀川沿いに港方面へ。こういう混雑路での位置確認はGPSが便利だ。方向感覚を失っても、致命的になる事はない。

港近くのコンビニで休憩、そして食料の買い出しをしておく。大阪行きフェリーは初めて乗るが、フェリー船内の売店はたいてい高値と決まっているので、事前にパンやジュースなど買い込む。

ふっと見るとゴーヤの束が安くで出ている。そうだ、大阪に着いたらゴーヤチャンプルでも作ってみようか。たぶん向こうには売ってないだろうし・・。

ここまではいつも走っているなじみの九州路。これからいよいよ日本列島を北上縦断していく訳だが、なぜか自分でも不思議なくらい高揚感はない。今回は九州脱出が自走によるものでないから、実感がまだ持てないせいだろうか。

明日の夜は滋賀県泊まりだけど、それから先の予定は特に決めていない(9月15、16日に山中湖畔での約束があるだけだ)。気ままなひとり旅といえば聞こえはいいが、それだけに不安も大きい。気持ちを奮い立たせるためにも、予定組みはあえてしない事にした。仕事を辞めてまで来ていながら、殊更小心な自分にまっすぐ相対するのも、また楽しからずや。

この90年式Bandit250とともに、どこまで北上出来る事だろう・・?


いよいよ出航

寝転がる作者

シーガイアにほど近い一ツ葉有料道路の入り口から右に折れると、すぐそこは宮崎港。

(九州:P71/C-3)

まずは白い建物のフェリーターミナルに寄って乗船手続き。用紙に名前など書き込み、ナンバーを控えて、すんなり終了。いちおう電話で予約は取っておいたのだけど、乗客は少なく、あまり意味がなかったようだ。

メインの待合い駐車場に乗り入れると、いっけん工事業者風の係員さんが手を振って順路を示してくれている。それに従って船内に乗り込み、デッキでBandit250を固定してもらう。このようにフェリー内で乗員の指示に従ってバイクを固定ポジションにガチっとつけるのは、毎度の事ながら何か気持ちのいい瞬間だ。着岸してからの出発指示を待つときも、まるで空母の甲板で発進許可を待つ戦闘機パイロットのような気分になれる。

リアシートに縛りつけた大型バッグはそのまま置き、カメラや携帯など貴重品を入れたタンクバッグだけ外して小脇に担ぎ、客室へと繋がる狭い通路をゴリゴリ抜け、今夜の寝床の2等室へ。いわゆるザコ寝部屋だが、毛布と枕があって雨風がしのげれば十分。しかしまったく乗客は少なめで、畳の広間の1区画に2,3組くらいで寝転がっている感じだ。夏休み最終日とはいえ、平日はこんなものなのだろうか。

さて、起きていてもする事はないので、早めに食事をすませ、豪華に毛布と枕を2人分使ってちょっとひと寝入り。読書に飽きたら船内探検でもしに行こうか〜・・

などとノンビリ構えていたけれど、この日はどういうわけか波が高く、外洋に出た途端おもいっきり上下にシェイクされだしたようで、起きた途端あまりの上下動にビックリ。

これがハンパじゃないのだ。散歩するどころか、何かに掴まってないと立ちあがるのさえむつかしい。まるで船全体がガスコンロの上の中華鍋のよう。たまりかねてトイレに駆け込む人もいる。クラクラしながら時計を見ると、まだ午後10時すぎ。翌朝7時半の大阪南港到着まで、なんと9時間もある・・

おーい、港はまだかー!


出発時のオドメーター
32,580km
本日の走行
161km
ガソリン
1,890円/18.9L
食費など
770円
フェリー代
11,430円(大人1人8,380円、バイク1台3,050円)
合計
14,090円