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北上ツーリング 2001年8月31日-9月21日

※文中の()内の数字記号は昭文社刊ツーリングマップル(2000-2001年度版)のページ/エリア番号です。

札幌〜南下開始編 2001年9月9日

雨の札幌

白くて丸いパン

今日はK氏やお仲間と連れだっての札幌観光。折からの雨のため、クルマでの移動に。空の向こう側、地上とのすき間にわずかに青い空がチラチラと覗いているのが、なんとも悔しい。

途中、私と同じく九州から北海道ツーリングに来ているA子さんとも合流し、長沼にあるレストランで食事。ここでは以前から気になっていた「ハイジの白パン」というメニューが目当てだ。その名のとおり、丸くて白いパンはとても軟らかく、数量限定で人気のメニュー。普通は口にするのもむつかしいらしいのだが、幸か不幸か雨模様のおかげで客足もまだ少なく、全員白パンセットにありつく事が出来た。

食事を終えて、「道の駅マオイの丘公園」で行われているスズキ・ツーリングオアシスに行ってみた。

(北海道:P29/C-5)

おそらく日本最北の開催地となっているはずだ。現地に着いてみると、テントがひとつ立っており、とりあえずやってはいるのだがバイクは1台もいない・・まぁこの天気じゃ無理もないか。本当なら私もBandit250で来たかった。最北端のオアシスに鹿児島ナンバーで乗りつけたらどんなに痛快だろう。せめてもの足跡として、来場名簿に鹿児島の名前を刻んでおいた。

スズキのイベントにて

遠来賞でも出るかな?なんてチョッピリ期待したが、それはなし。そのかわりステッカーやマウスパッド、スズキの旗をごっそりいただいてきた。これからの道中、はためかせて走るとしよう。

その後はふたたび市内をまわって、小樽の宿に帰るA子さんと別れたあと自由行動。雨も上がってきたので、ひとりBandit250で市内を回る。

大荷物を降ろしたBanditはとても軽快に感じる。クラーク像や歌で有名な南三条など見て回るが、やっぱり大都市の人混みはどうにも気疲れてしまう。結局K氏宅近くの公園(といってもかなり広大な規模)でごろ寝しながら、書店で買った宮澤賢治本などを読んで過ごした。

そして昨日あたりから気になっている事があった。太平洋上から大型の台風15号が紀伊半島付近に接近しているのだ。これからの予定といえば、今週末の山中湖での全国ミーティングがある。つまりどこかで台風をやり過ごさなければならない。台風のコースによっては関東あたりからまともに縦断してくる可能性もある。このまま道内に留まってフェリー欠航にでもなったら、たぶん今の自走ペースでは厳しいだろう。しかし予定を優先させるあまり、現在の行動にこれ以上の制約が出来るのもイヤだ。

せっかく来た北海道だが、日程的にこれ以上奥に進むのは難しい状況。それに台風接近ともなれば前線をまた刺激するから、当分の間はこの雨雲の回復も見込めないだろう。この雨の中、カッパを着込んでえんえん走り回るのもなぁ・・。

よし、ここは決断。 明日から折り返し南下を開始、さっさと海峡を渡ってしまおう。あとは何とかなるさ!


本日の走行
42km トータル2,395km
ガソリン
1,080円(WS西野・200km/10.4L)
食費など
3,768円
宿泊
0円
合計
4,848円

2001年9月10日

小樽〜南下コース

翌日は雨は上がっていたが、まだ空は重たそうな色をしている。今日は月曜、仕事に向かうK氏に2日間のお礼をのべる。

『また会いましょう!』

K氏は地下鉄の駅、私はBandit250で幹線道都へ、それぞれの方向に手を振って別れた。これから小樽に向かい、さらにR5を使って函館を目指す。さぁBandit250よ、これからまた日本を縦断だ!

(北海道:P28/E-3)

小樽までの道はゆるやかなアップダウンが続き、一部混み合うところもあるが、おおむね快適な道だった。若竹の陸橋交差点から右に入り小樽港に入っていく。きのうご一緒したA子さんが帰りのフェリーに乗り込む時間を聞いていたので、ちょっと立ち寄ってみる。

港のコンビニ前で見覚えのあるBandit250Vを見つけた。店内を伺うと、A子さんは買い出しの最中。もうすでにフェリーは到着し、まもなく出発との事。彼女とは九州内のキャンプやツーリングで時々顔を会わせるのだが、はるばる自走してきた北の地で見慣れた顔と会うというのも、なんだか妙な感じだ。

北海道を去るA子さん

A子さんも例の台風が気になっているらしい。というのも小樽発のフェリーで舞鶴まで行き、そこから大阪南港まで自走してまたフェリーに乗り、瀬戸内海を渡って九州入りする予定だそうだが、もし台風で舞鶴到着が遅れると大阪からのフェリーに間に合わない可能性がある。おまけにチケットは往復ですでに買っているから、欠航ならともかく乗り遅れた場合に払い戻しが効くかどうかも不安のひとつだという。

私も南九州に住んでいて毎年上陸する台風には慣れっこのはずだが、それだけに怖さもよく知っている。この北の大地で台風の影響をくらうとは予想していなかったが、自然相手では無理をしない事が大事。もし間に合わなくても無理して飛ばさず、見送るくらいの余裕を持って行きましょうと言い置き、九州での再会を約し、A子さんを見送った。


倶知安・ニセコ

R5を南下して倶知安(くっちゃん)に入った辺りで、時折激しい降りが襲ってくる。小樽港を出るときに雨具を装備しておいてよかった。このあたりはスキー場で有名なところらしく、あちこちに案内の看板が出ている。私はスキーをしないが、好きな人にはたまらない場所なのだろう。

(北海道:P21/E-2)

ニセコの駅舎

雨中走行で体が冷えたので、トイレ休憩にニセコ駅へ立ち寄った。話には聞いていたが、ハイカラなデザインの駅舎がいかにも北海道というイメージをかもし出している・・と言いたいが、あいにくの雨模様。晴れていればもっと印象も違ったろうが、今日はどんよりとした雲の下で、ヨーロッパ風の尖塔もどこか所在なげ。雨具を来たまま駐車場のはじでスケッチブックを出し、ちょっと濃い目に描いてみる。駅舎の向こう側で、汽笛が何度かポーッと鳴りひびいた。

長万部が近づくあたりではクルマの流れも良いが、それだけに警察が取り締まりをよくやっていると聞いていたので、あまり無茶はせずに流して走る。前方にもクルマが4,5台いて、その流れにまかせてクルージング。しかし本州の国道よりかなり早いペースで、これも北海道流というところか。

ホクレン給油所

しかし先ほどから後ろにいたランドクルーザー4WDが一定速での走行にだんだん焦れてきたようで、Bandit250の真後ろにピタリと張り付いたり、逆にスピードを落として車間をぐっと空けたりの繰り返しで、直前を走っているこちらはすごく気になる。そのうち前にクルマの列があるというのに、何度となくBandit250の横に並んで、「どけ!」とばかりに割り込みを要求してきた。最初は無視していたのだが、下手に引っかけられて痛手をこうむるのはこっち。くやしいが、ウインカーを左に出し、ポジションを譲った。

しかし何を思ったか、4WDは車体をグンと反対車線に振ったかと思うと、私だけでなくそのまま一気に前方のクルマの列をごぼう抜きにかかった。4WDは轟音とともにものすごいパワーを発揮し、猛烈な速度で直線路の彼方に、あっというまに走り去って行った・・。なんともやりきれない気持ちが残ったが、背後から事故のタネが消えてくれただけでも幸いと思おう。進行速度に関係なく、他車の後ろ(特にバイクの後ろ)に従って走る事を異常に嫌うドライバーは時々いるものだ。

(北海道:P21/A-6)

長万部町に入ったあたりで雨も小休止となり、広い路肩にBandit250を停めて雨具のズレを正していたら、道のすぐ横は広々とした牧場。母親らしい大きな黒い馬と、茶色で額に白い星のある子馬が仲良く草を食べている。

さっきの気分直しもかねて、ちょっと休憩。タンクバッグからスケッチブックを取り出し、シャーペンで軽く写生してみる。遠くの山々も見通せるほどに雲も払われており、雨上がりのアスファルトの匂いが心地よい。

さて、これからの行動だが、函館に着いたらフェリーの時間を確認し、もしすぐに出る便があれば一気に青森側に渡ってしまおう。台風のコースがわからないうちは、なるべく安全策で行きたい。

仕上げに草葉の水を使って水彩をつけ、スケッチブックを閉じる。さて、もうひとっ走り。

牧場

さらば北海道

海岸線に出る手前で、パトカーの赤い回転灯を遠くに見つけた。速度を確認し、そろそろと脇を走り抜ける。と、なんとさっきの4WDが見事に捕まっているではないか。あの速度なら間違いなく赤切符、ざまぁみろと言ってやりたいところだが、先週の東北では私も似たような立場にあったのだ。あまり人の事は言ってられない。

工事中が多い

R5を海岸線にそって走り、山越えして函館に入っていく。結局ここでもまた降り出し、ついに午後5時半の出航まで雨が止む事はなかった。ほとんど雨と雲にさえぎられてしまった北海道だったが、またいつか来る日を夢見て・・。

船内のテレビでは、台風15号は関西から中部付近に上陸の可能性ありと伝えている。これから南下すれば、東北のどこかでかち合う事になりそうだ。しかしながら夜半の台風通過となれば、私の愛用するロゴスの安テントでは心許ない。出来ればどこかでコテージ的な寝場所を確保したいところだ。

ここでちょっとまずい事に気がついた。今乗っている青森行きは、往路で乗った大間函館便より倍以上、4時間近くの所要時間がかかる。つまり到着は午後9時すぎ、雨の中で野営地を探すにはかなり不安な時間。

それならいっそ、このまま高速を使って、先日幕営した岩手の石鳥谷まで突っ走ろうか。あそこなら勝手もわかるし、管理人さんとは仲良くなっているから、避難場所にするには心強い。

というわけでコース決定、このまま入港したら速攻で青森インターに入り、一気に岩手の盛岡付近まで南下する事に。しかし先刻A子さんには無理するなと言っておきながら、自分は札幌から盛岡あたりまでぶっ続けで走ろうとしているわけで、我ながら調子がいいなと思う。

こういう状況でも「青森市内で、お金を払ってちゃんとした宿に入ろう」という発想が出てこないのが貧乏性の私らしいところではあるけれど、こういう不安な夜は、どこかに向かって突っ走っていた方がかえって心が休まる気がするのだ。雨の夜間走行となるが、まだ風はそれほど出てないから大丈夫だろう。

フェリー到着まであとわずか、船倉でBandit250の準備をし、雨具をチェックする。さきほど窓から外を見た限りでは、ゲートの外はまたしても土砂降りだ。3日前に函館に着いたときもこうだったなぁ・・。

そしてゲートが開き、前方の大型トラックが轟音とともに次々と出てゆく。

さぁ、戦闘開始だ!


ここまでの走行
275km トータル2,670km
ガソリン
592円(倶知安・110km/5.7L)
840円(函館港町・170km/8.0L)
フェリー代
4,090円(2等1,850円,バイク1台2,240円)
食費など
840円
合計
6,362円