HOME

北上ツーリング 2001年8月31日-9月21日

※文中の()内の数字記号は昭文社刊ツーリングマップル(2000-2001年度版)のページ/エリア番号です。

奥多摩編 2001年9月16日

翌朝は地響きのような音で目が覚めた。

いびきのヌシは隣に寝ていたW氏。大柄な上半身をふるわせ、20畳ほどの大部屋から廊下までゴウゴウとなり響くさまは豪快の一語。もっとも、おかげででほとんど寝られなかった人もいたようで、みな顔を見合わせて苦笑い。

記念写真

顔を洗って朝食をいただき、お昼前には宿を出て昨日の駐車場へ再集合。日曜とあって一般の人出も多くなっており、ズラリと並んだ「ほぼ同じ形」のバイク群を珍しそうに眺める人もいる。

壮麗なBanditの列の前にみんな並んで記念撮影。最後に幹事のエム氏による締めの挨拶で全国オフも無事終了、またの再会を期して、遠きも近きも家路につく。また日本のどこかで会いましょう!


ワインディング

さて、自由な旅人たる私は、月曜の仕事に備えて家路を急ぐ必要はない。これからの行動をいろいろ勘案していたところ、奥多摩のワインディングを走ってみようという事になり、R氏と関東在住のN氏、そして札幌からのK氏と連れだって奥多摩周遊道路へと向かう事になった。しかしK氏は東京からレンタカーで来ているのですり抜けは出来ない。地元R氏を先頭に車の増えだしたR139を大月方面へゆっくりと向かう。

(関東:P33/D-6からG-2)

途中で給油と食事をはさみ、やや狭いが走りやすいR139で松姫峠を越える。やや雲が厚くなりだしているようだが、雨の気配はまだない。

休憩場所

奥多摩湖にかかる三頭橋のたもとで休憩、時刻は午後3時前。日曜で車も多いが、峠のワインディングを攻める目的であろう、見るからに戦闘的なバイクの若者もちらほら見受けられる。”峠を征服する”という楽しみは人を惹きつけるようで、その手段も様々。比較的スローな自転車旅でもパスハンティングというジャンルが存在するし、バイクでの峠の楽しみも基本的には同じはずだが、サーキットまがいの高速走行でカーブを攻める、昔風の言い方ではローリング族というのがここには多いようで、こればかりは同じライダーの私もなじめない。

速く走るという行為そのものはバイクの本質でもあるし、爽快感もよくわかるのだけど、せまい峠道、カーブの向こう側に何が待っているかわからない状態で、尋常ならざるスピードを出すのはもはや恐怖でしかない。

峠道にはサーキットと違ってコースオフィシャルも安全エリアもドクターの待機所もないから、転倒イコール大怪我または”死”に結びつくケースも少なくない。じっさいこの日もバイクで転倒したライダーを病院に搬送するため消防庁のヘリコプターが来ており、発着時にローターから発生するダウンドラフトでの事故防止のため、一般道を10数分にわたって閉鎖するひと幕もあった。

バイクは楽しい乗り物だが、扱いを誤ると運転者にとってこれほど危険な乗り物もちょっとない。あくまで常識の範囲内で、安全に楽しんで貰いたいとつくづく思う。


連泊

奥多摩の湖

ところで今後の予定だが、R氏も熱心にすすめてくれた乗鞍スカイラインを走ってみる事にした。バイクの走れる道路としては国内最高地点であり、その標高じつに2,700m超というから、九州最高峰の屋久島・宮之浦岳より800m近くも高い。

しかも環境問題の影響か、近々一般車輌の乗り入れが全面禁止されるらしい(※注16-1)。そうなってはバイクで到達する事は事実上不可能、現時点においては北海道の宗谷岬や鹿児島の佐多岬以上に重要なランドマークと言えるかもしれない。

しかし、時計はすでに午後3時をまわっている・・・この時間から長野方面へ山をいくつも越えて単独北上する事を考えると、正直しんどいなぁという気持ちだ。

私のダレきった表情を察してか、R氏がもうひと晩泊まっていったらと助け船を出してくれた。札幌からのK氏も今夜泊まる予定なので、ついでといっては何だが、お言葉に甘えて連泊させてもらう事にした。

橋を渡って風張峠を越え、檜原村・県民の森で小休止したあと、R氏宅に向かって出発。

下りのカーブはほどほどのきつさで、私程度の腕でもスピードを出さない限りは楽しい。先頭を行くR氏やN氏には申し訳ないが、自分のペースで楽しむ事に集中しながら走った。

それでも後続のレンタカーK氏はときおりタイヤをキキッと鳴らせて、しんどそうに追いついては離されるの繰り返し。彼もバイクに乗らせたらかなりの腕前なのだが、4輪のそれもファミリーカークラスでは歯痒い思いだろう。

Nさんのバンディット

この県道206は夜間は全面通行止めになるそうだが、すでに夕方近くになってもひっきりなしにバイクの集団が行き来している。マップルの案内にも”休日はバイクラッシュ”とあるくらいで、人気のあるツーリングコースなのだろう。かつて鹿児島の指宿スカイラインが2輪車の夜間通行止めを実施していた事があったが、今やバイクブームも遠く去り、夏休みでもない限りすれ違うバイクは少ない。そう考えると、ちょっと羨ましい気もしてくる・・。

途中で自宅に帰るN氏と別れるが、ついに雨が落ちてきた。木陰にBandit250を停め、急いで雨具を着込む。K氏は何やらヤブの中に向かってカメラのシャッターを切っているが、北海道にはない竹が珍しかったのだそうだ。

R氏宅に到着後、近所の温泉でひと休み。3時間で800円という、私の価値観からすれば超高額な温泉ではあったが、広い浴槽でのんびり出来た。出る段になって入場札をレジにわたすと、オバチャンは何やらガチャガチャとキーを叩きだしたので、もしかしたら時間内だったから返金があるのかなと期待したが、何もなかった。

さて、明日は山梨から長野県へと北上し、乗鞍スカイラインへ到達する予定。天候が悪かったりすると入り口で追い返されるらしいから、ここはぜひとも明日の好天を祈ろう。

この日のR氏宅には奇しくも南端と北端のBands!メンバーが顔を会わせる事になったが、昨夜の”全国オフ”の余韻を残しつつ、私の気持ちはすでに標高2700mへと飛んでいた。

さぁ、明日もがんばって走るゾ!

※注16-1
「平成15年度より岐阜県・乗鞍スカイラインへの一般車両の乗り入れ禁止」が正式にアナウンス。長野側エコーラインでも同様の規制が実施され、実施後はふもとから観光バスで登る事になる。排ガスやゴミ投棄からの環境保全という名目だが、地元の観光産業を保護する色合いが強いという意見も。観光バス群をスムーズに通すために長野側の道を拡張する計画もあるらしく、問題視されている。

本日の走行
152km トータル4,045km
ガソリン
1,036円(大月・201km/9.4L)
食費など
1,400円
温泉
800円
宿泊
0円
合計
3,236円