競技用レーサーと違い、ESCAPE R3のように街中が主要ステージである自転車に自立スタンドは必須装備。しかし標準でスタンドは装備されていなかったので、店員さんに「社外品でもいいので、何か付けておいて下さい」とお願いしました。
結果付いてきたのは、よくある一本脚のサイドスタンド、CYCLE DESIGN製のアジャスタブル・キックスタンドでした。スポーツ車用らしく、通常のスチールよりもうんと軽い軽合金製で、ノブを回すと脚が伸縮する仕掛けになっており、タイヤサイズなどによって調整出来ます。フレームをはさむ部分には透明な保護シートが貼られ、余計な傷が付かないよう配慮されていたのはさすがです。
日常生活においては一般的なサイドスタンドで何の問題もありませんが、電車や車などを使って輪行で移動する場合、フレームの後ろにニョキッと飛び出したスタンドの脚が邪魔になってしまいます。出来ればフレームサイズのスパン内に収まるセンタースタンドがあるといいのですが、ESCAPE R3にセンスタを付けるにはいろいろな問題があって、純正パーツでも用意されていないのが実情です。
まずセンスタを付けるべきクランク直後のスペースがあまりなく、ブリッジ(左右のチェーンステーを連結し補強するパイプ)も通っていて、スタンドの固定ボルトを通しにくいのです。前後ディレーラーを動かすためのシフトワイヤーもここに集中しており、さらにスペースを狭くしています。
しかしどうしてもセンスタを付けたい! というわけで、ネット上の情報も参考にしつつ、自分なりに工夫してみる事にします。
センスタの中ではポピュラーなTranz X製のアジャスタブル・センタースタンドを買ってみました。脚の長さ調整機構付きで、24インチから28インチまで幅広く対応してくれます。
重さは350グラムと、手で持っただけで最初に付けていたキックスタンド(270グラムほど)よりもズシッと重く感じますが、そのぶん強度はありそうです。
まずフロントディレーラー用のワイヤーを避けるため、ボルトを通す場所をブリッジ後方とし、マジックペンで位置決めのマーキングをします。
この位置だとスタンドのベースとタイヤとの間隔が1センチ程度しかなくなりますが、純正の28Cサイズより太いタイヤを入れる事は多分ないでしょうから、このままで行きます。
リアディレーラー用のワイヤーがスタンドベースの角にちょっぴり干渉するので、その部分だけヤスリで削って逃げ道を作ってあげます。
素材はアルミ合金なので、金属工作用のヤスリで簡単に削れます。
ESCAPE R3はチェーンステーの根元が縦方向に太いためか、付属のボルトでは長さが足りませんでした。
より長いボルトに換えようとしましたが、ネジ穴のピッチがユニファイ規格、いわゆるインチネジ(3/8インチ・16山)になっており、その辺のホムセンで普通に手に入るJIS規格のボルトは使えません。
そこでネジ穴よりも細いM8×60ミリのボルトを使い、スタンドのベースを素通ししてナットで締め付けます。
この長さのボルトでもほんの少し足りなかったので、ステー上側に来る押さえの金属パーツをひっくり返し、丸くなっている側を下向きにしておきました。
アーチ部分が左右ステーの中間に逃がせるので、ボルトの長さが短くて済みます。
更にもうひと工夫。チェーンステー下側に当たる部分にそってヤスリ等でミゾを彫り、スタンドを跳ね上げる衝撃で位置がずれないようにしておきます。
フレームと接触する部分に古いチューブを短冊状に切ったものを挟んでおけば完璧。
組み付け終わったら、高さなどを微調整して完成です。苦労したかいあって、スタイル的にピッタリ決まりました。
スタンドの足が前後ホイールの接地点の中間にあるため、風や傾斜でハンドルが動いた時に姿勢が乱れにくいのもセンタースタンドの利点です。
欠点は、立てた状態でクランクを回すとスタンドの足に当たってしまうので、チェーン注油などのメンテナンス時には不便です。駐輪場などでバックして移動させる時もいちいちスタンドを上げねばなりません。この点だけは従来型のスタンドの方がよかったですね。
スタンドの足がフレームの後ろ側に出っ張らなくなったおかげで、そのまま横にしても車の荷台にちょうど入るようになり、積みおろしも楽になりました。
インチネジのボルトが手に入ったので、最初のボルトナット貫通式をやめて純正本来の固定方法に戻しました。ナット式だと増し締めやズレの微調整の時、上下に工具をかませる必要がありましたが、これなら上から回すだけですので簡単です。
ねじ規格は前述の通り3/8インチ・16山(=並目/UNC)で、長さは75ミリ。ちょっと長めかなと思いましたが、店先にあった在庫の中ではこれが一番手頃でした。
取り付けてから約9年が経過。跳ね上げる時の動きが渋くなり、外側から注油してもあまり改善されなくなってきたので、初めて分解掃除をしてみました。
シンプルな構造なので、支点のボルトを六角レンチで抜くだけでバラバラになります。ただしバネで突っ張っているため、脚部を下から力を入れて持ち上げつつやらないとうまく抜けません。
内部は油泥がこびりついてすごい状態・・固まった汚れを竹ベラでこそぎ落とし、パーツクリーナーやブラシできれいに掃除したのちグリスアップして組み付け。ちょっと大変でしたが、そのかいあってスムーズな動きが戻りました。
長年の酷使でボルトの摺動部分が磨耗し、段付きになってしまっていました。穴側もすり減っていてガタが大きくなっているようです。実用上はまだそれほど問題ではありませんが、そのうち新しいものに交換すべきかもしれません。
ESCAPE R3にはスポーツ車らしくボトルケージ取り付け用の台座(ネジ穴)が最初から設けられています。しかもダウンチューブとシートチューブの2カ所!これを利用しない手はありません。ボトル台座を利用したエアポンプホルダーなどのアクセサリーも豊富で、今や機能拡張のためになくてはならない装備です。
フォールディングバイクでも使っているTOPEAK製のモジュラーケージEXを2つ入れてみました。サイズ調整式なので、缶ジュースや500mlサイズのペットボトルから太いサイクル用ボトルまでシームレスに利用出来ます。
注意点としては、黄色い調整ノブが走行中の振動でゆるみ、場合によっては脱落してしまう事がごくまれにあります。樹脂製なのであまりきつく締め込むわけにもいきません。一番簡単な解決法は、カラでもいいので常にボトルをセットしておく事。作者の経験上、何も入っていない時に限って抜け落ちるようです。おそらくケージのパーツがブルブル揺れて振動が増幅されるからでしょう。
もうひとつ、ペットボトルを入れた状態でケージをギュッと押しつけてノブを締めると、ケージのスライド部分がわずかに斜めになって密着しないまま固定されるので、ボトルが入っている時はいいですが、スポッと抜いたとたんにスライド部分に隙間が出来、ゆるみが増す事があります。よって調整ノブの締め付けはボトルをセットしていない状態でやるのがいいようです。
シートチューブ側では、ロングサイズのボトルの頭がつっかえてしまう場合がありますが、これはフレームサイズによっても違うでしょう。作者のはXSサイズ(430mm)なので、ちょっと窮屈だったようです。
ESCAPE R3はアルミ製フレームですが、これのネジ穴に鉄製やステンレス製などフレーム材と異なる材質のボルトを使うと、異なる金属との間に発生する電位差腐食という現象によって錆が発生しやすくなり、最悪の場合内部で膨張・固着して回せなくなる事があります。対策としてネジ部分にグリスを薄く塗布しておきましょう。
昭和50年代、ロードレーサーのボトルケージ台座はダウンチューブ1カ所のみというのがお約束でした。現在主流の小型エアポンプやCO2ボンベはまだなく、シートチューブを一杯に使ってはめ込むフレームポンプを持つのが普通で、仮にボトル台座が2つあっても片方しか利用出来なかったのです。そもそも運動中の水分補給に対する考え方も今と少し違っていて、固定された2つのボトルケージは長距離用のランドナーやキャンパーの装備であり、軽くあるべきロードレーサーには1個で充分だ、という考えが支配的だったように記憶しています。余計に欲しい場合はジャージの背中に入れたり、ハンドル部分にボトルケージを後付け出来るアダプターを利用していました。
これが昭和60年代になるとトライアスロンブームの影響からか、シートチューブにもボトル台座のあるフレームが流行り始め(フレームポンプはトップチューブ直下に移動。担ぎにくくなるので厄介でした)、自転車ショップの店先には新車に「ダブルボトル仕様です!」なんてポップがわざわざ書いてあったりしました。そのうちダブルもごく一般的な装備となり、現在に至ると言うわけです。
サドルバッグの定番、TOPEAK製のエアロウェッジパック(商品名はBAGではなくPACK)。
Sサイズだとスペアチューブや救急パックを含む携行ツールが収まらず、Lサイズだと後方への張り出しが大きくなりすぎ、輪行をする時サドル後端を接地させるのに邪魔になるので、Mサイズがちょうどよかったです。
裾留めバンドやコンパクトカメラ等、手元でさっと取り出したい小物をしまっておくためのケースを買ってみました。TNi製のBENTO BOXというナイロン布で出来た四角い簡易ケースで、サイズはスタンダード(縦12センチ、高さ8センチ、幅4センチ)。
トップチューブの上部前端にマジックテープ付きベルトで簡単に取り付け出来ます。前方のベルトはハンドルステムにぐるっと回すようになっていますが、内側がツルツルよく滑るのでハンドリングへの影響はほとんどありません。
下方のベルトは最近のゴツイ作りのカーボンフレームにも対応するためか結構長くなっていて、ESCAPE R3のように単純な円筒チューブではやや余ります。
フタはマジックテープ留めのメッシュ布、本体の壁も薄く、水濡れは一切考慮されていません。底部にはクッションもなく、デジカメやスマホなどの電子機器を収める時はスポンジか何かを底に敷くべきでしょう。
そもそもは補給食やウインドブレーカーのように軽い物を収めるためのものなので、重い物を入れるとダラリと傾き、ステムに回した支持ベルトのおかげでひっくり返ったりはしないものの、立ち漕ぎで膝に当たるなどしてすごく邪魔になります。
あと停車時、これの存在を忘れてサドルから前にお尻を落としたら、大事な部分をカメラの角に思いきりぶつけてしまった事もありました。
これまでサドルバッグに入れていたパンク修理道具などの携行品をツールボトルに収めてみました。
ボトルケージがひとつ塞がりますが、サドルバッグがなくせるのでサドル周りがすっきりとし、立ち漕ぎの時にバッグがブラブラする事もなくなりました。加えて大型のセーフティライトをシートポストの高い位置に固定出来るようになり、安全性も向上したと思います。
あと重量物を車体中央に配置する事で操縦性にいい影響があるかもしれません。今の所、特に感じる事はありませんが・・。
買ったのは、おそらく日本一売れているシマノ製のツールボトル。円筒にねじ込み式の蓋が付いただけのシンプルな作りで、緩衝材や仕切り板等の付属物は一切なし。通常のウォーターボトルよりも固めの樹脂で出来ており、手でつかんでもあまり変形しません。
計算上の容量はそれなりにありますが、布製のサドルバッグと違って変形してくれないので隙間のスペースを活かしにくく、ちょっと考えて詰め込む必要があります。取り出した後も順序よく戻さないと蓋が閉まらなくなる事も。逆に余計な隙間があると走行中に中で動いてカタカタと音がします。
結局スペアチューブ1本と工具関係でほぼ一杯になってしまい、救急セットはウエストポーチに移動せねばなりませんでした。
今年2月から日課にしている夕方の自転車走行、最初の頃は30分ほどで終えていましたが、最近は距離も伸びて1日1時間から1時間半ほどかかるので帰宅は午後7時頃になる場合が多く、10月も半ばを過ぎると日没の遅い鹿児島でもライト無しでは走れないほど暗くなってしまいます。
夜間走行でいつも愛用しているのはキャットアイのHL-EL510という単三電池4本タイプのLEDヘッドライトで、単光源ながら強力な光を発してくれます。近所のコンビニまでちょっとお買い物、なんて時にはこれでも十分なのですが、スポーツ向けのクロスバイクで運動目的に走るとなると、それなりに速度も出したくなり(平均25km/h前後)、この510単独では力不足を感じる事も多いのです。
最新モデルでは510とさほど変わらないサイズで数倍の明るさを発揮するタイプもありますから、それに買い換えてしまえば済む話なんですが、以前買って今は使わなくなった小型のLEDライトが手元に幾つかあるので、これらを再利用して同時点灯させれば、大きな出費もなしに夜間走行が快適になるのでは?と考えました。
BBB製ユニマウントという製品を買ってみました。フロントフォークの中心にある泥よけ用の貫通穴にボルトで取り付け、先端に設けられたハンドルバーと同じ太さの円筒部分に各種ブラケットを取り付けられます。
車種によってはブレーキワイヤーに干渉する場合があります。実際、フォールディングバイクのシボレーFDB206はVブレーキのワイヤーが邪魔で付けられませんでした。
小型のLEDライトを増設して走ってみましたが、なかなかいい感じです。本体は固い樹脂製ですが、根本部分に緩衝ゴムが仕込んであるため、路面からのショックで揺れて光軸のブレがいくらか出ます。よってあまり重い物はつけない方がいでしょう。
2013年8月12日追記 HL-EL510よりも明るく高性能なECONOM FORCEに買い替えたのを機に、この台座はR3から取り外す事にしました。