作者が日頃愛用している自転車です。どこにでもあるタウンサイクル、いわゆるママチャリで、タイヤサイズ26インチ、車重約17キログラム。特徴と言えばリアハブ内装式の3段変速を備える程度で、ホームセンターに行けば1万円前後で手に入るような安物、購入後7,8年は経過しています。ハッキリ言ってホームページに載せてトクトクと自慢するような代物では全くないですが、あえて写真付きで詳しく解説しましょう。
まず身長165センチの作者にサイズを合わせるため、シートピラー(サドルの支持パイプ)に刻印されている限界ラインまで目一杯上げています。これで停止時に靴のつま先が少し地面に着く程度。街中でオバチャンが乗ってるような足をベッタリ着くレベルでは停止時の安定感こそいいものの、脚だけでペダルを上から押しつけて漕ぐような体勢になり、長距離ではヒザへの負担がかなり高くなってしまうので、これくらい高くした方が漕ぎやすいのです。サドルの前後位置もノーマルだと前過ぎて腰を引きにくいので、サドルワイヤー幅の許す限り後ろへズラしてあります。
ハンドルはカモメ型からフラットタイプに交換し、立ち漕ぎ時の上半身の引きつけをしやすくしてみました。ハンドルステムも標準位置からやや下げて体重を前方に分散させ、走行中のショックが腰に集中しないようにしています。ちょっと窮屈な感じが残りますので、出来ればハンドルステムを突き出し(ステムの中心軸からハンドル取り付け部までの首の距離)の若干長いものと交換したいところです。
クランクの長さは現状で165ミリ(芯々)。ここの長さは自転車ギョーカイでは身長の10分の1が目安だと言われますが、足の長さは人それぞれだし、回し方(乗り方)によっても違ってきます。スピードを求めないツアラーでは全般的に165ミリが採用されていたり、身長165センチの作者も昔スポーツ車に乗っていた時は175ミリのクランクを使っていました。別に競争するわけでもないし、前後に短い着座位置のフレーム形状や比較的小径なチェーンホイールとの兼ね合いもあるだろうから、まずはこれで充分です。
駆動系は、前ギア33T×後ギア14Tでギア比が1:2.36。シマノ製の3速内装ハブの変速比は1速0.73、2速1.0(直結)、3速1.36なので、トータルのギア比は1速1.72、2速2.36、3速3.20となります。普段は2速で走る事がほとんどで、追い風や下り坂などよほど条件のいい時でないかぎり3速に入れる事はないです。
ブレーキはフロント側がノーマルなサイドプル式で、リアはシマノ製のローラーブレーキ。一般的なバンドブレーキと違ってキーキーと鳴く音がせず、効きも強力なのがいい点ですが、制動力の立ち上がりが急激で加減がしにくいのが欠点。さらにケーブルの取り付けアームがちょっとヤワに出来ていて、レバーをぐっと強く引きしぼるとアームがたわんでしまうのが、ちょっと気持ち悪く感じる部分です。
タイヤはちゃんとリムにはまらずにゆがんで付いていたので、いったんエアーを抜いてタイヤとチューブのセンターを出してからポンプでキッチリ充填。リムのゆがみ(スポークのバラツキ)も締め直し。スポークはほとんどの場合ゆるんでいくだけなので、適宜締め込んで調整します。
その他のこだわりとして、車重は少々重くなるけど、ママチャリの必須アイテムである泥よけ、前カゴ、サイドスタンドは外さない事にしています。ママチャリのようにタイヤに沿って長く覆った泥よけなら、水たまりがあっても遠慮なく突っ切れます。これがMTBに付いているような後ろに短く跳ね上がっているタイプだと、背中や足下への水ハネは完全には防げません。大容量の前カゴもママチャリならではの装備品、バッグを置いたり飲みかけのペットボトルや買い物袋を放り込んだり、こんな便利な走り方はロードレーサーや本格MTBにはちょっと無理でしょう。
スタンドも街乗り自転車には必須の装備ですね。これがないと駐輪場で不便だし、自立駐車も出来ないようでは他の利用者の迷惑になります。
そしてもうひとつ、警音ベルは昔ながらのジャリリリーン!と響き渡る回転式ベルに限ります。チーンチーンとショボい単音しか鳴らない貧弱な小型ベルでは、道ゆくオバチャンにはほとんど気付いてもらえません。
自転車には警音ベルを装着するのが法的義務となっていますが、危険回避等やむを得ない場合にのみ使用すべきものであり、歩道上で歩行者をどかす目的でむやみにベルを鳴らすと歩行者妨害行為として処罰の対象になります。このあたりが少々微妙なニュアンスを含むせいか「とにかく鳴らす事自体が禁止だ」と解釈している人や、最初から付けていない人もいるなど、装備義務があるくせに、どうも大っぴらには使えない空気感があります。
だからと言って歩行者の背後からノロノロとついていくのもあまり現実的じゃないし、ヘタをすると痴漢やひったくり犯と間違えられるかもしれません。そこで咳払いをしたり、ブレーキレバーをパチパチ鳴らす等、ベルを使わず自転車の存在をアピールする方法を編み出すという、いささか本末転倒な事にもなります。ベルの代わりに声かけをするという人もいますが、背後から急に声をかけたら大抵の人はビクッとして横に飛びのきますし、作者も実際にそれをやって「なんでベルを鳴らさないの!怖いわね!」とオバチャンに怒られた事があります。
ある程度の距離をもってチリーンと軽く鳴らし、自転車の存在をアピールして通過を予告する程度なら、法的にも問題ないはず。さらに追い越しざまに「スイマセン、通りま〜す」と挨拶するなど、常識の範囲で迷惑をかけないようにすれば、限られたスペースの中でもお互いが安全かつ円滑に通行出来るはず。要は使い方だと思います。
かなりヘタって傷ついていた中古タイヤを新品に交換。ブリヂストン Tough Road 26×1-3/8インチW/Oという普及クラス品ですが、さすがはメーカー製、ロードノイズ(≒路面抵抗)も減って、カーブでの安心感も増しました。オートバイも自転車も、やっぱりタイヤが基本ですね。
新品交換してから1年1ヶ月経過。この間走行距離は1,000キロほど走りました。日課のコース往復は2006年1月頃から外装6段変速付きの無印フォールディングバイクやシボレーFDB206でやる事がほとんどだったので、意外に伸びていません。おかげでタイヤの摩耗も少なめで、まだまだ使えそうです。較べてみるとフロント側よりも荷重の大きいリア側が、わずかに摩耗が進んでいるように見えます。
それよりちょっと気になったのが、タイヤのズレです。最初組み付けた時はタイヤのロゴマークとバルブとを同じ位置に合わせておいたのですが、1年経って見てみると、フロント側で10センチ弱、リア側では20センチほどもタイヤが回転方向にズレています。これはブレーキ時に発生する路面との摩擦力に屈服する形でジワジワと移動していった結果で、自動車やオートバイのタイヤでも見られる現象です。しかし走行距離が少ないのに、こんなにもズレるとは予想外でした。一方、半年で2,500キロも走ったシボレーFDB206のタイヤはほとんどズレが見られません。常に大きな荷重を受け止めて走る事の多いママチャリの宿命でしょうか?
ところで街中を走っているママチャリたちを見ていると、ほとんどの人が空気圧不足のまま乗っているようです。リアタイヤを半分ほどもペッチャンコにして、重い荷物を乗せてゴロゴロ走っていたり、あれではペダルもさぞ重い事でしょう。
普通の自転車用のタイヤについているのはウッズバルブ(英式バルブ)と呼ばれる、虫ゴムを使うおなじみのタイプですが、その構造上タイヤ内の空気圧を直接測る事が出来ません。空気圧を数値的に管理するには圧力メーター付きの空気ポンプを使うしかないのですが、ホームセンターで千円程度で売っている市販のポンプでは、機械精度の点でちょっとアテにならない場合もあります。
このサイズ(一般車用26インチ)の基準空気圧はおおむね3kg/cm2程度で、たいていタイヤ側面に書いてあります。タイヤの取扱説明書には乗車時にタイヤが接地する長さが9〜10センチ程度になるのが適正、などと書かれていますが、こんなのをいちいち乗ったり降りたりして測るのも面倒なので、作者はいつもタイヤを親指でグッと強く押して、ほんの少しへこむ程度までカチンカチンに入れています、たぶん普通の感覚では「コレちょっと入れすぎじゃないの?」と思うくらいの固さでしょうが、実はこれでやっと基準値の3kg/cm2に届くレベルなのです。
空気圧を適正に入れて走ると路面抵抗もグンと減ってペダルが楽だし、歩道なんかの段差の角で「ゴツン!」とリムがチューブを瞬間的に挟み潰して起きるリム打ちパンクに遭う事も少なくなるので、結果的にタイヤやチューブの寿命も延びます。みなさんのご自宅のママチャリも空気圧をぜひ確認してみて下さい。
そして自転車に限らずタイヤに入れた空気は使っていくうちに必ずジワジワと抜けてゆきますから、定期的なチェックも必要。これはゴム自体に完全な気密性がないためで、たとえパンクやバルブの故障がなくても少しずつ抜けてゆくのです。競技用に使われる軽量なラテックス製チューブなどはかなり極端で、1週間もポンプせずに放っておくとペッタンコになってしまうほどです・・。
エアバルブは弁内蔵タイプで虫ゴム不要の、通称スーパーバルブに交換。恥ずかしながら、こういう便利なものがある事をつい最近まで知りませんでした。空気が軽く入るという謳い文句どおりエアポンプがスムーズに押せます。でもエアが虫ゴムのすき間を縫ってタイヤにグイグイ送り込まれていく手応えのようなものがなくなったのは、ちょっと寂しい気もしますね。虫ゴムのはめ方によって空気入れがきつくなったり軽くなったりするので、そのへんのコツを覚えるのも楽しかったものですが・・。
この後タイヤの空気圧を調整してみて思ったのですが、このスーパーバルブにも弱点があるようです。根本にある黒いOリングはエア漏れのストッパーで、虫ゴム式での中子が少し盛り上がっている部分にあたるわけですが、バルブを脱着する際に意外と傷つきやすいようで、1回抜いただけで亀裂が走ってしまいました。抜く時も注意しないとOリングがパイプ側にくっついて、バルブから抜けてチューブ内に落ちてしまいそうになります。虫ゴム式でもこの根元部分が破れる事が多いですが、虫ゴムの余りを下からずり上げれば何とかなったりしますよね。というわけでスーパーバルブの「虫ゴムの10倍!」という謳い文句どおりの耐久性は実現されていないような印象を持ちました。
作者なりに考えてみると、おそらく虫ゴムもスーパーバルブも、ギュッと締め付けられている間はそれなりに機能維持してくれるけど、ゴムの張り付きなど脱着時のストレスが原因で破れが発生し、そこから大きな裂け目に発展するケースがかなり多いのではないでしょうか?メーカーでは「虫ゴムは半年から1年毎に点検して下さい」などと言っているけど、もしこの点検作業自体が破れの原因になっていて、エアーを抜いた瞬間に破れたのを見て「ああ、もう交換どきだな」なんて思っているとしたら、ちょっと滑稽ですね。
このスーパーバルブの交換用Oリングが別売りされているかは不明ですが、少なくとも作者の地元のホームセンターでは扱っていなかったです。代わりに虫ゴムを短く切ってはめ込めば代用出来るかもしれませんが、中子の盛り上がりがなく逆に段差になってへこんでいるのと、虫ゴムはOリングほどの厚みがないので、エアをきちんと止める効果が発揮出来るかどうか?この辺はそのうち確認してみたいところです。とりあえずパンク修理セットの中にはスペアとして虫ゴム式バルブも入れておいた方が賢明かもしれません。
スーパーバルブに虫ゴムをセットして、実際に走ってみました。
普通の虫ゴムを長さ6〜7ミリほどにカットしてバルブにはめ込み、途中でふたつ折りにするような感じで、巻くように段差部分を覆います。ここがあまり厚くなりすぎるとチューブ側のパイプに入らなくなります。
この代用Oリングで3日間、約50キロほど乗っても特にエア漏れはありませんでしたから、まずは成功のようです。しかし通常の虫ゴム式より無理な圧力がかかるためか、一度でもチューブから抜き取ると摩擦ですぐ破れてしまい、再利用はむつかしいようでした。でもカットした状態で売っている虫ゴムが1本20〜25ミリくらいですから3回か4回分くらいにはなります。そう考えるとスーパーバルブもまあまあお得かな?
長年放置していたのをたたき起こし、この半月でいきなり200kmほども走ったせいかチェーンのたるみがかなりひどく、張り調整も限界に来ていたので、これも新品に交換です。
外装変速機なしの一般車用サイズ=1/2×1/8インチ・101リンク+連結クリップのパッケージで1,029円。ピンを脱着する専用工具のチェーンカッターも同じく1,029円でした。この無印26インチでは94リンク使われていますので、カッターで切ってちょっと詰める必要があります。
古いチェーンを外して、同じリンク数の新品と比較してみたら、全長が1リンク分ほども長くなっていました。自転車のチェーンは伸びが全体の0.5%を越えたら寿命と言われていますから、限界値を倍以上もオーバーしていた様です・・。
通常このようなママチャリクラスのチェーンでは、付属のクリップを使う事によってラジオペンチ一丁あれば簡単に接続出来るのですが、今回はこれを使わず、すべてチェーンカッターによるピンの圧入で接続を行いました。実は以前イタズラでチェーンを抜き取られた事があったので、容易に外せてしまうクリップ式は使いたくなかったからです。
チェーンカッターで初心者がよくやるミスとして、ピン自体をプレートからまるごと抜き取ってしまうのがありますが、これをやってしまうと後でピンを再圧入するのが大変!プレートの穴とピンの直径はキツキツに造ってあるので、完全に抜いてしまったらそう簡単には入ってくれません。そうならないよう、押し出しボルトを加減してプレートから落ちない程度の所で止めておきます。初めてやる時は途中で何回かカッターを外して確認しながら押し込むのがいいです。慣れてきたらプレート内側にほんの少しピンの頭を残すようにしておくと、接続する時の位置決めが楽になります。
接続で圧入する時も、一方向から押し込んだだけでは両側のプレートが固くくっついて動きが渋くなるので、押し込み終えたらカッターを逆にセットして反対側からピンをほんのちょっぴり押し戻したり、接続部の両側を手で握って横方向に軽くこじるようにすると、微妙なすき間が生まれてスムーズに動くようになります。オートバイのチェーンもこれくらい簡単に扱えるといいんですけどねぇ・・。
最新の多段変速車ではさらに幅の狭いチェーンや、ピンの接続方法もアンプル式と言って先端の尖ったガイドピンを使うものがありますが、ママチャリユーザーにはとりあえず縁のない製品でしょう。
ママチャリでもオートバイでも、長く使っているうちにチェーンはジワジワ伸びてきます。これは別に金属そのものが引き伸ばされているわけではなく、リンクの接続部分が少しずつ摩耗してすき間が増え、全体的に見て長くなるので伸びると呼ばれるわけです。
写真の2つの矢印の部分、新品時はきれいな円筒形だったピンが摩耗して、段差が生じているのがおわかりでしょうか。これが100個前後も連なって起きるため、最終的には走行に支障が出るほど長さが変わってしまうわけです。解決するには新品に交換するしかありません。つまりチェーンもタイヤと同様に消耗品であると言えます。長持ちさせるためには日頃のメンテナンスこそが重要でしょう。
自転車用のチェーンは、その幅によっていくつかの種類があります。
ディレーラー(外装変速機)を持たないシングルギアのママチャリの場合(当機のように内装変速機付きも含む)、1/2×1/8というサイズを選んでおけば間違いないです。サイズ記号の後半の分数がチェーンの内幅を表し、1インチの8分の1(3.175ミリ)という意味です。
これが外装式の6〜8段変速車になると、たくさんの歯車のすき間を行き交いながら回転する必要があるため、1/2×3/32というやや幅の狭いサイズになって、価格もちょっぴり上がります。ホームセンターレベルで在庫しているのは通常この2種類まででしょう。これ以上狭いのになると専門店で注文しないと買えませんが、とりあえずママチャリユーザーには関係ないはずです。
サイズ表記の前の方の分数1/2はピンとピンの間の長さを表し、1インチの半分(12.7ミリ)という意味。実はこの長さはほぼすべての自転車で共通になっており、違うのは幅だけ。
ちなみに競輪選手が乗るトラックレーサーにも変速機がないので、ママチャリと同じ1/8サイズのチェーンが使われたりします。全く性格の異なる両者が同じ規格のパーツを使っているなんて、ちょっと面白いですね。
前に「前カゴは外さないのがポリシーだ!」みたいな事を書きましたが、昨日買い物で5キロの米袋を入れて走っていたら、段差を越えた衝撃で少しサビの出ていた側面の固定部分があっさり破けてしまい、結局取り外さざるを得なくなってしまいました。新しいカゴに買い直す事も考えましたが、その前に今までサドルに付けていた小型カメラバッグを前に持ってきて、ちょっと遊んでみました。
ヘッドから出ているカゴ支持金具に、厚さ2〜3ミリのFRP板で自作したバッグサポートをボルト止め。このFRP板は以前ラジコンカーのシャシー自作用にとストックしていたものを流用しました。木版よりも強度があり、雨で濡れても腐らず、ノコギリやヤスリで自在にカット出来ます。でもわざわざこれのために買うのは高くつく材料かもしれません。前カゴ本体と前輪シャフトからまっすぐ伸びていたU字型支持ステーを外し、代わりにFRPのバッグサポートを追加して差し引き1キログラム強の軽量化となり、トータル車重は16キログラム弱となりました。これだけでもフロント廻りがすごく軽快に感じ、全体のスタイルもお買い物用ママチャリからおしゃれスポルティーフ風と、前カゴがなくなっただけでずいぶんアカ抜けた印象になるものですね。思いつきでデッチ上げた割には気に入っちゃいましたので、しばらくこれで行こうと思います。今度から買い物に行く時にはデイパックが必要になるでしょう。
後ろのカメラバッグが前に行ったので、代わりの工具入れとしてラフ&ロード製のオートバイ用パンク修理セットが入っていたバッグを流用しました。上側を2ミリ径のIV線でサドルに縛り、下側のフリップをサドルのポストに直接差し込んであるので少々の段差を越えても簡単には落ちないでしょう。この長さならポンプも入れられます。しかし都会的なフロントに較べて、こっち側はアウトドア野郎的モッサリ感が少々漂ってしまいました。そのうちカッコいいバッグが手に入ったらまた交換する事にします。
いくら気取ってみたところで所詮は自転車、人力でペダルを漕がねば1センチも進まないわけで、ペダル効率を考えれば車体は1グラムでも軽くしたいのですが、趣味のロードレーサーと違って生活の足であるママチャリには軽量化よりもまず現場での積載能力を問われる場面が多いわけです。この無印26インチはキャリアも前カゴもない状態だったので積載性は無に等しく、スタイルはさて置くとして、かなり不便なものでした。
最近はシートピラーに噛ませるビーム式のリアキャリアが売られていますが、こういう安手のママチャリのフレームやピラーに変な方向からの荷重はかけたくないし、後輪車軸にダイレクトに荷重を分散出来るママチャリ専用キャリアと比較すると、ビーム式の積載能力はどうしても落ちます。というわけで(本当は付けたくなかったけど)普通タイプのリアキャリアを装着する事にしました。これも在庫にあった廃車パーツで、ステーの長さからして27インチ用とおぼしきサイズ。そのせいかキャリア前部の支点も高く、このフレームでは固定出来る場所がないので、苦肉の策として同じく廃車フレームのシートピラー固定部分を金ノコで切断し、それを利用してシートピラーの中間位置にクランプ固定するという変則的な方法を採りました。つまりビーム式と標準式の折中と言えなくもないですね。このおかげでマッドガード(ドロヨケ)との間隔が大きく空き、ママチャリ離れしたスピード感のあるスタイルに仕上がったのはちょっと予想外でした。
邪魔になったサドル後方の工具入れは取り外し、パンク修理用工具のみに絞ってフロントバッグ内のポケットに押し込み、エアポンプも当初の位置であったシートチューブ後方に戻してバンド留め。太めの鉄棒で組まれたリアキャリアはけっこう重く、単体で1キログラムはあります。それでも工具やバッグを減らした分との差し引きで車重約17.5キログラムと、前カゴありの時とほぼ同じ数値にとどまってくれました。
愛用のハンディGPSをハンドルに装着。自転車以外にもオートバイや野歩きでも時々使っていて、出先で面白い場所を見つけて座標メモリーしておけば帰宅後パソコンや地図で正確に位置が確認出来、記録した走行データも素材としていろいろ活用出来ます。衛星信号を元にしているので移動速度も比較的正確ですから、スピードメーターの代わりにもなります。
作者の愛用しているのはGARMIN製のetrex Summitという機種で、2001年春に購入、約3万円でした。電源の単三乾電池が日中いっぱいくらいしか保たないのが弱点。
まずオートバイなどへ取り付ける時に使うマウントアダプターを用意し、壊れて鳴らなくなった廃品の警音ベルをカッターやニッパー等でちょん切って加工したうえでマウントアダプターを上面にビスで固定。etrex Summitなら電池込みで150グラムくらいですから、これでも強度的に十分でしょう。
ハンドルに何かを付けたくなった時、加工しやすい樹脂製の警音ベル台座はいろいろ重宝します。
取り外していた前カゴを再装着しました。前のと同じタイプの黒メッシュで、近所のリサイクルショップで210円で購入したもの。やはりママチャリはこうでないとね!リアキャリアも光り輝く新品に交換して、ちょっぴり若返った気分です。
前カゴがあると、ハンドルに付けるタイプの電池式ヘッドライトでは影が出来てうまくないので、これも旧来のブロックライトに戻しました。余ったヘッドライトおよびフロントバッグは無印フォールディングバイクへ移動させました。これにより車重はちょっと増えて約18キログラムとなりましたが、積載能力は大幅アップ!毎日のお買い物も気軽に出来ます。
使用休止した無印フォールディングバイクに付けていた軽合金製シートピラーに交換してみました。KALLOY製のシートピラー・SP-248という製品。(2,000円)太さ25.4ミリ・長さ350ミリです。若干の軽量化を期待しての事ですが、18キログラムのママチャリからたった100数十グラム減らしたところで軽さはまったく体感出来ませんでした。
それより問題は、ピラーが奥まで入っていってくれないので、サドルが全然下げられなかった事です。フレームパイプの奥の方はピラーが入った事がなく、内側に若干のサビが出て内径がすぼまっていたためで、無理に突っ込んだりサビを落とすと、直下にあるボトムブラケットにサビの粉が降り積もってしまうので掃除が面倒です。とりあえずこのフレームでは350ミリもの長さは必要ないので、金ノコで何センチかカットする事で解決出来ました。
これでも作業中にBB部分にサビが多少降ったでしょうから、時間のある日に分解掃除する事にします。
ハンドル高の高いシボレーFDB206に乗る時間が長くなったせいか、現在のやや低いハンドルに違和感を感じるようになってきてしまいました。前カゴに重い物を入れた時もフラつく事が多いので、思いきってママチャリ標準仕様の幅広ハンドルに替えてしまいました。スタイリングはちょっと野暮ったくなりましたが、操縦性はかえって向上したように感じます。
わが家の近所には公園があって子供達のよい遊び場になっているのですが、時折ボール遊びに夢中になりすぎた子がいきなり道路に飛び出して来る事があります。無事に止まれれば「コラ!危ないぞ!」と怒鳴るだけで終わりですが、もし止まりきれずにぶつかってしまったら大変。実は今日もぶつかりそうになって、フルブレーキをかけているにもかかわらず、キーキー音がするだけで頼りない減速Gしか発生せず、かなりきわどかったのです。
世の多くのママチャリは、得てしてリア側のブレーキこそ強力なものが装備されていますが、フロント側はどうもコスト的に思いっきり手抜きされているようで、上級クラスを除いてはロクなものがついていません。せめてブレーキシューくらいはもう少しマシな品質にしておいて欲しいものですが、ホームセンターなどで手に入る交換用シューにもあまりいいものがないのが現状。作者はいつもロックしやすいリア側よりもフロント側をより強くにぎるので、もうひとつ物足りなさを感じていました。特に雨の日は制動力ががた落ちになり、乗っていてすごく緊張します。
そこで思いきって、BMXなどでよく使われる、より大きく剛性も高いセンタープル・ブレーキ用シューをくっつけてみました。自転車店の隅っこに転がっていたもので、ママチャリ用よりも少々ぶ厚いですが、ケーブルを調整してブレーキアーチを少し開き気味にしておけば問題なく付けられます。シュー自体のストッピング・パワーもさる事ながら、取り付け角度を微妙に変えられるのも便利。
これで何キロか実走してみたところなかなかいい具合でしたので、これでしばらく行ってみようと思います。
5年近くにわたって当サイトに紹介してきた無印26インチ車ですが、ついにわが家から去る日が来ました。かつての仕事場の先輩が、近場の移動手段および軽い荷役として、カゴ・荷台付きの自転車を一台探している、という話を聞き及び、お世話になった頃の恩返しの意味も含め、装備一式含めて譲り渡す事にしたものです。実際、2008年2月にESCAPE R3が納車されて以来ほとんど乗る機会がなくなっており、車庫の奥に引きこもったままの無印を見るたびに申し訳ない気がしていました。そこに身近で乗ってもらえる人が現れた時点で、ちょっとずるい気もしますが、これでこいつの作者の元での役目は終わったのだな、と考える事にしたのです。
こいつとは、本当にいろんな場所に行きましたねぇ。最初のうちは運動不足で、住宅街を10キロ走るのも青息吐息でしたが、練習を重ねて東シナ海沿岸までの往復20キロ、車に積んで隣県にある球磨川サイクリングロードまで走りに行ったり、最終的には自宅から50キロ彼方にある加世田まで自走往復したりして・・。何より20年近く忘れてしまっていた自転車の楽しさ、すばらしさを思い出させてくれたのです。
さようなら! 今まで本当にありがとう。