工具を使わず、簡単なレバー操作だけでホイールを一瞬のうちに脱着出来るクイックリリースハブは、元々イタリアのカンパニョーロという老舗メーカーが考え出したパーツで、レース中にパンクなどのトラブルが発生した時に素早く交換出来るようにするための装備ですが、日常整備やパンク修理、輪行の時にもたいへん便利なため、今や競技用レーサーだけにとどまらず一般のスポーツ車にも広く採用されています。
ところが街乗りでは駐車中にイタズラされたりホイールの盗難に遭う危険があります。そのため長いワイヤーロックを両輪にかけて渡すなどの工夫をしますが、コンビニやトイレに立ち寄るたびこれをやるのは正直めんどくさいものです。
そこでいたずら抑止策として、レバーが取り外せるタイオガ製のクイックシャフトに替えてみました。普段はレバーを取り外しておき、別途バッグや財布の中にでも持っておけば、目を離した隙にイタズラ者が現れても素手では外せないというわけです。
ただしレバー自体が少々短く、しかも丸い棒状なので、締め込んだり開く時に力を入れにくいという欠点があります。ホイールの脱着なんてそう頻繁にやる作業ではありませんが、力の弱い女性向きではないかもしれません。
そのほか、レバーを抜き取ると中に入っている樹脂製の黒いキャップパーツが支えを失うので、何かの拍子に脱落してしまう可能性があります。機能的にはこのキャップがなくても平気なんですが、とりあえず作者はキャップの奥にGクリヤー(ゴム系接着剤)を少量塗ってくっつける事で対策。この状態で1万キロ以上走っていますが、脱落は一度もありません。
ところで作者が購入したHUA005にはシートポスト固定用の短いクイックシャフトも含まれていましたが、ESCAPE R3の純正シートクランプには残念ながら形状が合いませんでした。
2016年6月1日追記 TIOGAの脱着レバー式クイックはもう販売していないようです。そのかわり特殊なツールで締め付けるクイックシャフト(スキュアー)がいくつか出ています。
ESCAPEシリーズ全般のリムサイドには、大して上等なパーツでもないくせに円周のほぼ半分くらいの領域にド派手なステッカーが貼ってあって、街中をうろつくにはちょっと気恥ずかしいものがあります。どうせ貼るなら反射機能でも持たせりゃいいのに、単なる銀ピカシールなので安全にはそれほど寄与していそうにありません。それに雨風で劣化して端っこがめくれてきたりして、いっそう邪魔くさく感じてしまいます。
幸いそれほどガンコに貼り付いているわけじゃなさそうなので、思い切って剥がしてみました。ツメをたてて端をめくり、破れないよう気をつけてゆっくり引っ張れば気持ちよくスルスルと剥がれてゆきます。残ったベタベタも、灯油を少ししみこませた布で軽く拭けばきれいに取れます。
ESCAPE R3のホイールには、前後ともプラスチック製の反射器が標準で付いています。夜間走行時の被視認性を向上させるためにはとても有効なパーツですが、このわずかな付属物のためにホイールの回転バランスが狂ってしまっており、車体を持ち上げた状態でホイールを回転させると、シャッ、シャッ、シャッと大きく振られるのがわかります。
解決法はいとも簡単、反射器を外すだけで振れはピタッと収まります。でもそれだと夜間走行がちょっと不安なので、かわりに市販の黄色い反射テープをリムサイドに貼り付けておきました。幸いESCAPE R3はかさ高のエアロリムを持っているので、テープの面積が横向きに大きくとれるのがいいですね。外した反射器はシボレーFDB206に流用しました。
この日の夕方、いつものように車庫から出して乗ろうとしたら、リアタイヤがぺっちゃんこになっているのに気付きました。昨日はなんともなかったので、これはスローパンクだなと思い、タイヤを一周チェックしてみましたが、何かが刺さったような形跡はありません。
タイヤを外してみたら、チューブの穴はリム側に開いていました。それもかなり大きなものです。
穴の開いた箇所にあたるリムを見て、原因がすぐわかりました。チューブを保護するためのリムテープが横にズレており、むき出しになったスポーク穴の角に接触して穴が開いたようです。先日タイヤ交換した時いっしょに換えたリムテープの幅が純正16ミリに対して14ミリとやや狭かったのも一因でしょう。
ところでスポーク穴をよく観察すると、フチにはまるで鋭い歯のようにとがったバリが立っていて、指先でなぞると引っかかります。工場で穴加工をした後の面取り工程を省略しているのでしょう。こういう部分が廉価版の泣き所です。
このまま元に戻しても、今度はリムテープ自体が切れるなどして、またパンクを引き起こすかもしれません。
よって、バリを削って丸める作業を行いました。棒ヤスリやモーターツールを使い、切削粉がリム内に落ち込まないよう、ホイールを吊り下げた状態で下から削ります。リムの内壁に傷をつけないよう慎重に。
全ての穴(スポーク24カ所およびバルブ穴)に対して行い、念のため今回パンクしていない前輪も同様に作業。合計50カ所のバリ取りを終えるのに1時間以上かかりました。
さらにチューブの下に敷くリムテープは、より幅広で耐久性のあるタイプを新しく入れました。県庁所在地にあるプロショップ坂之上サイクルで薦められたのがビットリア製の緑色のスペシャルフラップ。サイズは幅18ミリ(18-622)。今までのよりもしなやかですが、穴の跡が付きにくく長持ちするのだそうです。幅もリムの内幅いっぱいに近いので、穴とチューブが直接接触する事はまずないと思います。
今回の作業はかなり面倒でしたが、安全上重要な部分の隠れた不具合に気付けたのは幸運だったとも言えます。もしあの日、車庫の中でタイヤの空気が抜けていなかったらそのまま乗って出かけていたわけで、走行中の急激な空気圧低下という危険なトラブルに見舞われていたかもしれません。
作者が以前激しく転倒した際、道路の縁石で前リムのブレーキシューが当たる面をほぼ半周にわたってガリガリに傷つけてしまった事があって、その後モーターツール等でどうにか修正してはみたものの、金属のカスが食い込んで出来た表面の荒れや大きな傷は完全には修復出来ず、ブレーキシューの当たる位置を下側にずらすなどして対応していたのです。そのうち買い換えなくてはと思っていましたが、ブレーキ面はともかくハブベアリングはまだまだ健康だし、現状でもなんとか使えているので、結局2年以上もそのままにしていました。
今回、Yahoo!オークションにて中古の2010年式ESCAPE R3用のフロントホイールを格安で入手する事が出来たので、ホイール丸ごと交換しました。
2008年式のよりステッカーのデザインが大人しくなっている他はほとんど同じ物です。リムのブレーキ面の終わりからスポークニップルが出ている三角の頂点部分に至る面が、旧モデルはゆるやかに弧を描いていたのに対し、新しい方は途中でほんのわずかに凹面状になっている点が唯一違いを感じた部分でした。これは両方をじっくり触り較べてみない限り、ぱっと見ただけではまずわからない程度の差異です。
落札価格1,500円(送料別)の中古品とはいえ程度は上々で、ベアリングの状態も良好、リムの振れも全く出ていません。
唯一リムの継ぎ目の段差がちょっと目立ちましたが、引っ込んでいた側をモンキーレンチでくわえてほんの少し起こしてやり、当て木をした耐水ペーパーでならして修正。その後、一応センターゲージで芯をチェックし、オリジナルホイールと同じくスポーク穴のバリ取りをやってから、リムテープ類を入れ替えて車体に装着。走行感はほぼ新品同様で、ブレーキをかけても変な擦過音がしないのでとても快適です。
よい品を提供して下さった出品者さんに感謝します。ちなみにGIANTから補修部品として新品ホイールを取り寄せると7千円くらいです。
ESCAPE R3で夜の田舎道を走っていてた時の事です。車体の前方からキッ、キッとかチッ、チッという感じの、ごく小さな金属音が周期的に発生しているのに気付きました。周囲に車が1台もいない静かな場所で、デコボコの少ないなめらかな舗装路面の上を走っている時に、さらに意識して耳を澄まさないと気付かないような小さな音でしたが、車輪の回転速度に合わせて確かに聞こえてきます。
路肩に停めてチェックしてみた所、フロントホイールが1回転する毎にエアバルブ位置の反対側、つまりリムの継ぎ目がある部分が地面に近づいたあたりで発生しています。しかし車体を持ち上げてホイールだけを空転させても何の音もしません。つまりハブ軸に荷重をかけた状態でないと鳴らないのです。
乗り方でも音の出方が変化するのに気付きました。左足ペダルを真下に持ってきて体重を支え、車体を右側にうんと傾けた状態にすると音が大きくなり、逆に左側に傾けると音が小さくなって、ほとんど目立たなくなります。
その後、自宅でホイールを外して、いろいろと対策を施してみました。
もうこれはリムそのものに何か問題があって、継ぎ目がズレて音が出ているのかもしれない、そうなると個人レベルでは直しようがないし、こりゃまた買い換えかな・・などと思いつつ、何気なくタイヤの空気を抜いて外し、内部のチェックをしてふたたび戻して空気圧を戻したところ、なぜか異音がきれいに消えていました。
理由は不明ですが、タイヤかチューブの入り方に何らかの不均衡があって、空気圧を上げた時に妙な応力がかかり、バルブが一番上に来た時、つまり負荷が抜けた時にバルブ体とリムの金属同志が微妙に動いて鳴っていたのでは?なんて想像しています。
2012年7月8日追記 上記の対策をしてから一週間(約50キロ走行)後、また同じタイミングでかすかに音が出てきたため、思い切って全てのスポークニップルを完全に緩め、ネジ部およびニップルとリムの接点にグリスを薄く塗ったうえで、イチから張り直して振れ取りまできっちりやってみたところ、音は完全に消えました。その後200キロ以上走りましたが、異音は再発していません。
2013年8月11日追記 あれから約1年、4,300キロ以上走り、タイヤやチューブの脱着も何度かやりましたが、異音の再発は起きていません。結局、原因はスポークのテンション不良だったようです。以前タイヤを脱着した時に音が一時的に消えたのは、ホイールに力を加えた事でテンションのバランスが微妙に変化したためではないか?と考えています。
ESCAPE R3を買って5年と7ヶ月、この間およそ2万キロ近くを走り、ホイールもその都度手入れをしながら大事に使ってきたつもりでしたが、1年ほど前からリアハブのフリー側の玉押しに目立つ虫食いが増え出し、ほんの少しですが回転にコツコツ感が出ていました。フリーボディの回転にも引っかかり感やザラつきが発生しています。しかし交換しようにもメーカーから細かな内部パーツが出ていないため、オーバーホールは難しい状況。
フロントホイールは2年前により高年式のものに交換しており、ベアリングもまだ十分使える状態ですが、タイヤやホイールは出来れば前後とも同じものを使いたいし、また個別に買えば高くついてしまいます。
ついでにR3純正ホイール(2008年式)はリムのスポーク支点が全周にわたって等間隔でないため、メンテナンス時の振れとり作業が面倒という不満点もありました。
というわけで、完組ホイールの定番商品とも言えるWH-R501ホイール前後セットを買ってみました。信頼性の高いシマノ製で、シャフトや玉押し、ベアリング鋼球に至るスモールパーツがネット通販で手に入れやすいのも大きな強みです。
WH-R501(旧名R500)はエントリークラスのロードレーサーやクロスバイクにも多く新車装着されているベーシックなモデルで、断面が平べったいエアロスポークを使ったWH-R501-Aやリムハイトの高いWH-R501-30などのバリエーションがありますが、作者はESCAPE R3の初期のイメージをあまり変えたくなかったので、純正に一番近い形状のWH-R501(ハイフン記号なし)を選びました。
リムハイトはR3純正とほぼ同じで、よりやや低く、バルブ長40ミリのチューブで十分いけます。リムの幅がR3純正より約1ミリ狭いですが、純正の28Cタイヤも問題なく入れられます。
2013年9月11日追記 買った後でちゃんと測ってみたら、R3純正ホイールのリムハイトは29ミリもありました。いっぽうR501は24ミリしかありませんので、数値的には30ミリあるR501-30の方がずっと近かった事になります。
フロントはスポークを交差させないラジアル(放射)組と呼ばれる組み方で、線径2ミリ(所謂14番。R3純正も同じ)のプレーンな丸タイプのステンレススポークが20本。ホイール重量はクイックシャフトとリムテープを抜いた状態で実測805グラム。R3純正より約170グラム軽く、持っただけで「あっ、ちょっと軽い」とわかるレベルです。
リアは駆動力がかかるため一般的なタンジェント(交差)組で、R3純正と同じ24本。太さ・材質ともフロント側と同じです。こちらは実測1,083グラムで純正比マイナス110グラム。よって前後で合計280グラムの軽量化になりました。
ちなみにクイックシャフトは現在使用中のレバー脱着式に交換し、R501付属のものは不使用。試しに測ってみたら、R501のクイックはR3純正よりも10グラムずつ重かったです。
これだけ軽くなった部分が外周のリムに集中していれば走行感も大きく変わるでしょうが、それを調べるにはリム単独で重さを測る必要があり、さすがに買ったばかりのホイールをいきなりバラバラにする気にはなりません。
その代わり、ハブ軸をバラして中を覗いてみました。玉押しに傘状のシールド板がくっついていて、内側にある幅広のゴムシール全体をぴったりと覆う構造になっています。シンプルですが、これならベアリング部分に雨水が直接飛び込む事はないでしょうから、1本のOリングだけに頼っていた純正ハブよりは雨に強そうです。
ベアリング部のグリースはきちんとした量が詰められ、玉当たり調整も2,3回でぴたりと決まり、回転もなめらか。R3純正に較べて明らかに工作精度が高い印象です。リムの振れやセンター度も許容範囲内でしたが、この辺はもしかしたら通販ショップの人が出荷前にグリスアップや再調整をしてくれていたのかもしれません。
R3純正リムではギザギザにとがったバリが立っていて面取り加工を余儀なくされたスポーク穴ですが、R501では完全にきれいとまでは言えないものの、バリの出っ張りはほとんど目立たず、何カ所かに棒ヤスリを軽くあてて角を落としただけで済みました。
リム側面には水抜き用と思われる小さな貫通穴。
ブレーキ面に摩耗レベルをチェックするためのゲージ穴がありました。これが見えなくなったらブレーキ面が摩耗限界を越えたという事になります。
これらの穴はどちらもR3純正リムには見られなかったものです。
大げさなR500ステッカーは全部剥がし、リムに残ったベタベタ糊はガムテープや灯油をしみ込ませたボロ布できれいに除去。
代わりに白い反射テープを細く切ってリム側面の一角に貼り、夜間走行時の被視認性を向上させます。メーカーもせっかく大面積のステッカーを貼るのであれば、せめて反射機能くらいは持たせておいて欲しいですね。
走り始めはR3純正との差はほとんどわかりませんでしたが、長くゆるやかな登りにさしかかると、ほんの少しペダルが回しやすくなったように感じました。しかし「言われてみれば確かに軽いかな〜」という程度で、もし誰かにこっそり交換されていたら気付けなかったかもしれません。
一番はっきりと違いが出たのは坂道を惰性で下った時で、普段よく走るコースの途中で400メートルほどの坂を下るさい、これまでは最高で時速40キロ出るかどうか、という所を、今日の走行では坂の半分あたりで既に40キロを突破、最後は46キロまで伸びました。これはハブの回りの良さもさる事ながら、フロント側のスポークの少なさとラジアル組から来る短さによって、空気抵抗が低く抑えられた効果ではないか、と考えています。
ところでWH-R501の取説を読んでいたら、使用方法の欄に「リア最大ギア 21-30T」とあるのに気付きました。なぜこんな制限があるのかは書いてありませんでしたが(ハブやフリーボディに過大なトルクがかからないようにするため?)、現在のスプロケはR3純正の11-32Tなので制限を越えています。1速32Tなんて普段はまず使わないので、とりあえずはこのままで行きます。
2013年9月15日追記 スプロケを新しい物に交換し、最大ギアを制限内の28Tに抑えました。
購入後1年半が経過、走行距離は約2,200キロ。この間のメンテナンスはブレーキ当たり面の研磨とホイールハブベアリングのオーバーホールをそれぞれ1回やったのみ。目につくようなリムの振れは出ていません。リムテープのへこみクセはこれまで使ってきたテープの中では一番変化が少ない印象です。
購入後3年半が経過、走行距離は約7,200キロ。ブレーキの当たり面はかなり荒れてきましたが、磨耗限界を示すゲージはまだ前後共余裕があります。見た感じ、まだ半分にも届いていないようです。
前後左右4箇所のゲージの深さは若干の差はあるものの、どれもほぼ同じ。
スポークの表面塗装が少し剥げて来ました。しかしなぜかフロント側のみで、リアはあまり剥げていません。
家ではいつもフロントホイール側にワイヤーロックを通しているので、それでスポークが擦れるのかな?とも思いましたが、ワイヤーが届かない中心近くでも剥げているので、走行中に当たる砂や小石のせいかもしれません。それだとリア側も同じように剥げるはずですが、たぶん空気の流れ方が違うのでしょう。
リムの振れ取りは年1回やるかどうかで、ほとんど放置状態ですが、一応縦横共1ミリ未満に収まってくれています。