※文中の()内の数字記号は昭文社刊ツーリングマップル(2000-2001年度版)のページ/エリア番号です。
伊勢道の安濃SAにてガソリンを入れる。時刻は正午すぎ。
(関西P.49/1B)
このSAはレストランや売店が駐車場よりも小高いところにあり、一般の車のお客さんは階段を上がっていく事になるが、バイク用駐車エリアは上までスロープがあり、身障者用駐車枠のとなりにあるので便利だ。バイク用駐車エリアは最近はSAだけでなく、ちょっとしたPAにも設けてあるのでありがたい。気の利いたところでは屋根がついてて雨の日など助かるし、車止めがあったりするのでマナー知らずな4輪ドライバーに占領される事もない。ただ、枠が狭いので4,5台も入ればいっぱいになってしまうが、バイクと4輪の比率からすれば仕方ない。しかし今後高速2人乗りが解禁になったりすれば、また違った状況になるかもしれない。
伊勢道に別れを告げ、難所の名阪国道に入ってゆく。
行きにはかなり神経を使った道だが、一回通っているせいか意外とリラックスして走れる。はるか前方の車の動きをよく注意してみると、遅い車輌がどのへんにいるかがわかるし、1回だけとはいえトンネルの位置や長さもなんとなく憶えているので、比較的楽に走れた。上野、白樫、五月橋と過ぎ、三重県を離れ奈良県へ。
(関西P.48/4A)
道がやや左右に大きくうねりだす小倉付近で、同方向に走る赤のスズキSV400Sと並んだ。薄手のジャケットのみという軽装なので、この近辺のライダーだろうか。私がやや先行すると、しばらくしてまたスイっと抜いてゆく。向こうもヒマなのか、これを何度となく繰り返しているうちに道は山間部のきつい下りになってきた。ここで向こうが一気にスパートしだしたが、私は無理せずにやや距離を置いて走る。
西名阪道の天理料金所が見えてきた。ふと左を見ると、さっきのSVが路肩に停車してポケットの中をごそごそやっている。
「フフッ、勝った!」
というわけで、タンクバッグとハイカで完全装備した遠距離ライダーに軍配は上がったのであった。
西名阪道の天理から郡山、法隆寺と、日曜のお昼どき、家族連れのワゴン車でいっぱいの中を縫うように進む。柏原をすぎればもう大阪だ。そして松原jctで近畿道へ分岐、東大阪jctを経てモノレールの横を走り、吹田の料金所へ。
(関西P.38/6E)
さて、ここからは中国道、山陽道、中国道と走り、一路九州へ西進するのみ! 少々空腹感を感じるが、まだ食事をとる気分ではない。大阪から兵庫県に入り、宝塚をすぎた次の西宮名塩SAで給油、午後2時ジャスト。
(関西P.37/6G)
しかしレストランや広場には人がいっぱいで、とてもバイクを降りる気になれない。もうすこし走ってから軽めの食事をとる事にしよう。
神戸jctから山陽道に分岐、神戸北をすぎて淡河PAでラーメンをいただく。胃が少々もたれるかもしれないが、他にめぼしいメニューが見あたらなかった。ひさしぶりにゆっくり椅子に座り、背を伸ばす。
天気はほぼ快晴、気温もかなりのものだろうが、ライディングウエアの通風のよさに助けられ、それほど暑くはない。エアコン完備の4輪の人から見れば、この陽気で長袖ジャケットに皮パンツ、ブーツの出で立ちは大変そうに見えるのか、暑くないですか、疲れませんか、などと頻繁に話しかけられる。関西の人々は本当に気さくな方が多い。
やや交通量の少なくなった2車線をふたたび西へ。加古川市、姫路市(半分はトンネルだ)、龍野市、相生市、そして赤穂市。ここで兵庫県と別れ、岡山県へ。関西圏とはやはり兵庫までの事を言うのだろうか、岡山はどちらかといえば広島寄りというイメージがある。広島と岡山をセットで意識してしまうのは、我々の世代、某漫才コンビの影響が大きいのかもしれない。岡山jctの手前、吉備SAにて給油休憩、時刻は午後4時前。
(中国・四国P.35/4G)
すこし遅れ気味だが、無理はしない事にする。古都・倉敷も一度は立ち寄ってみたい街だ。市内の大原美術館にあるというエルグレコの作品はぜひ見てみたい。鴨方、笹岡、そして福山市。広島県に入り、山陽道も半分の行程を残すのみだ。尾道に別れを告げ、道はしだいに山がちになって登りがきつくなりだす。
(中国・四国P.42/5G〜5Cあたり)
と、昨日の伊勢の山道で点灯したTEMPサインがふたたび光った。まだ高坂PAをすぎたばかりで、すぐには止まれない。エンジンをいたわりつつ走行車線を80で走り、次の小谷SAをめざす。不規則なトンネル通過がもどかしい。やっとこSAに着いて、冷却水を点検する。水位には異常はないが、ちょっと心配だ。このまましばらく休ませる事に。バイクを駐車場のはずれに停め(小谷には2輪用枠はまだなかった)、自分も舗道にごろんと横になって、バイクといっしょにクールダウン・・
TEMPサインはまだ消えないが、このまま走る事にした。80前後で走行風を当ててやれば、回復するかもしれない。
そのもくろみは見事あたり、西条をすぎるあたりで消灯した、これでひと安心・・しかしまだ先は長い。いつ再発するかわからないので、ここは省エネ走法でゆっくり確実に距離をこなしていく。
(中国・四国P.40/5G)
原爆の日を迎えている広島を通過。
午後6時前。さきほど小谷SAで給油するのを忘れていたので、次の宮島SAで給油休憩。スタンドで水道を貸して貰い、焼け石に水とは承知しているがラジエータに水をかけてみる。これでしばらく持ってくれればいいが・・まもなく日没だし、気温も下がればなお良いが、それまではガマンの走行だ。
廿日市市、大野市、大竹市をすぎて、いよいよ本州最後の県、山口へ。
(中国・四国P.51/6A)
とたんにトンネルが増える印象だが、そのすき間から見える夕暮れの赤と、濃く青い空、山々の緑のコントラストが奇麗で、つい見入ってしまう。今回のツーリングでは単なる通過点にすぎないはずの中国・山陽道だが、もうすぐ九州に入ってしまう事を考えると、何か感慨深いものが湧いてくる。
この夕陽を見に、またいつか来よう。