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鹿児島〜伊勢1泊2日

※文中の()内の数字記号は昭文社刊ツーリングマップル(2000-2001年度版)のページ/エリア番号です。

2000年8月5日

八代〜熊本〜福岡〜・・そして門司

関門橋をバックのバンディット

八代インターから数分で宮原SAへ到着。ここでガソリンを補給、満タンで7リットル。時刻は午前2時半、まだ夜明けは遠い。GSの黄色い照明が目にしみる。

(九州P.52/2A)

缶コーヒーでいっぷくし、冷たい水ですこし顔を洗ったあと、出発。このあたりから少しずつ交通量が増えてきたが、まだ自家用車は少ない。夜明けには九州を脱出したいところだが、なるべく焦らず、マイペースで走る。

(九州P.52/2B)

松橋(まつばせ)、御船、益城空港とすぎ、阿蘇への入り口、熊本インター通過は午前3時15分。九州・阿蘇を訪れるライダーは大概ここからR57を経て、ミルクロードや草千里、そしてやまなみハイウェイへと足を延ばすのであろうが、私ならひとつ先の益城(ましき)熊本空港インターから県道ぞいに俵山峠を越えるコースをすすめたい。一本道のR57に較べてずっと交通量が少ないし、俵山を越えた瞬間に眼前に広がる阿蘇の雄大な眺めは衝撃的ですらあるからだ。最近は観光コースに組み入れられる場合も多くなり、以前のように走りやすくはないが、それでもこの峠はまさに「バイクのために」作られたとしか思えないほど道どりが最高なのである。まだ走った事のない方は、チャンスがあったらぜひアタックしてもらいたい。

(九州P.46/1D〜P.39/5H)

熊本インターを過ぎたあたりからは、若干アップダウンが大きめになってくる。西南戦争の激戦地にして西郷隆盛敗走の地・田原坂に近い植木、菊水、南関を経て、福岡県に入る。

八女(やめ)には北部九州横断道路のR442が直角に交差しており、佐賀や大分への下道分岐ポイントだ。SA併設の広川をすぎると久留米、そしていったん佐賀県内に入り、右は大分道、左は長崎道へ分岐する九州道のヘソ、鳥栖(とす)jctをすぎ、ふたたび福岡県に入る。このあたりから車線は3本になり、交通量もグンと増える。

(九州P.13/5E)

佐賀県は面積も小さく、場所的にも微妙な位置にあるためか、曲者揃いの九州各県中、かなり地味な方ではないだろうか。観光バス関係者など、「トイレ休憩の県」などと陰口をたたく者もいるとか、まったく佐賀人にとって無礼千万な話だ・・。

学問の神さまとして名高い菅原道真を祭る太宰府天満宮のある太宰府をすぎ、九州第一の都市・福岡、古賀と抜ける。ここでオドメータが160を越えたので、次の古賀SAで給油休憩をとる。時刻は午前4時20分。このペースなら、あと30分くらいで九州の玄関口、門司へ着くだろう。これが九州最後の給油というわけだ。そう考えると何か新たな感動のようなものがわきあがってくる。バイク乗りとはかくも単純なものなのか・・

(九州P.8/3D)

若宮、八幡とインターを過ぎると、長めのトンネルが現れる。福岡以北は都会的イメージがあるのだが、高速で走ると意外や山が多い。むろん都市部を避けて建設されているからなのだろうが、道幅もいつのまにか2車線に戻り、切り通しのような側壁にやや息苦しさを感じる。

北九州市の小倉南、小倉東とかぞえ、いよいよ門司の名が目に入ってくる。門司の名を冠するインターは南から新門司、門司、そして関門海峡そばの門司港の3つ。関門海峡を目の前にして、橋のたもとにループ状に作られた道を抜けて、めかりPAに入り、休憩。ここは上り線でしか入れないPAなのだ。逆に向こう岸の下関側には、下り線のみ入れる壇の浦PAというのがある。

(中国・四国P.69/2E、九州P.6/2F)

白み始めた空をバックに、関門橋をいっとき眺めて缶コーヒーをゆらす。いよいよ本州上陸だ!


下関〜中国道から山陽道へ

いきなりなんだかカーブがきつい・・中国道の最初の印象はこれにつきる。舗装もそれほど奇麗ではないが、250バイクの巡航速度なら、まぁまぁ快適な方か。関門橋を午前5時ちょうどに渡り、小月をすぎて道が東向きになるあたりから、進行方向の東の空に朝日に映えた赤い雲が見えてくる。

(中国・四国P.58/4G〜)

南西諸島にある台風が影響しているのだろうか、あまりいい色ではないが、いまさら天気の事を心配してもしかたがない。とにかく前進あるのみ、なのだ。(最悪の事態にそなえ、三重〜鹿児島間の交通費は懐に忍ばせてあるが・・)

サーキットで有名な美祢をすぎ、美東SAですこし休憩をとる。ガソリンはまだあるが、すこし疲れが出ているようだ。なにしろゆうべは睡眠3時間しかしてないし、これからはガソリンの有無にかかわらず、100km前後で休憩をとる事にする。

(中国・四国P.59/2F)

小郡を過ぎると山口jctである。左は中国道、右は山陽道。出発前にいろんな人に訊いてまわったところ、山陽道の方が走りやすく、若干距離も短いらしい。私的には瀬戸内海の眺望が楽しみでもあり、ここは山陽道へとステアリングを向ける事にする。

山陽道に入って防府(ほうふ)市、徳山市・・それにしてもトンネルが多い。人吉ほどではないにせよ、ゆるやかなカーブとアップダウンにランダムに襲いかかってくる短めのトンネル群は、どうも苦手だ。などと考えているうち、そろそろガソリンが少なくなってきた。下松市の下松SAで給油休憩。時刻は・・午前7時前。

(中国・四国P.61/5C)

そろそろ腹も減ってきた。午前0時から夜通し走って、ぼちぼち体も何かの継ぎ目を欲しがっている。ここで朝食にする。食堂は閑散としていたが、営業はやっているようだ。軽めに肉うどんと稲荷ずしをいただく。ふと足をみると、モトパンの白い部分が排ガスでだいぶ薄汚れている。今からこんな感じだと、大阪の都市部を抜ける頃には真っ黒くろ助になっているかもしないなぁ・・。

バイクの前ですこしストレッチをして、足をもみほぐす。ロードブーツは正解だった。いつものツーリング半靴だったら、疲れはこんなものではなかったろう。

マップルを中国四国版に切り替えて、少々違和感を感じるのはやはりインター間の距離の短さだ。名前がとっさに読みにくい(玖珂とか廿日市とか)のも一因か。旧型Bandit250という、極悪燃費のバイクにとってはSAのガソリン補給が生命線であり、航続距離が200km程度なので、一カ所見逃すと致命傷になるおそれがある。SAに寄ったら次の給油予測ポイントをおおむねの距離で探しておき、あとはコンディション次第でたとえハーフタンク程度でも給油する、そして次のSAのめぼしをつけて、の繰り返しだ。

(中国・四国P.51/2Dあたり)

さて、岩国をこえたら広島県に入る。大竹、大野、廿日市とすぎ、厳島神社で有名な宮島を眺める。しかしどれがどれやら・・。だいたいさっきから走ってても瀬戸内海の眺望がほとんどないではないか!こんなはずでは・・

五日市をすぎると、広島インターに達する。そういえば明日は8月6日だから広島原爆祈念日だ。広島市にはネットで知り合った友人が何人かいるが、今回の関西行きには広島市へのだいたいの距離感を掴んでおきたかったという理由もあった。今年中にはなんとか実現したいものだ。もちろん日帰りで、だ。