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操作各部の調整

バイクの操作レバーやペダル類は、操作ワイヤーの伸びやライダーの体格、好みなどに会わせて各部が調整出来るようになっていますが、買ったときのまま変えていない人が多いのでは?ほんの少し動かしただけでもずいぶん乗りやすくなったりしますから、やった事のない人はぜひチェックしてみてください。

目次

フロントブレーキレバー

右側のブレーキレバー スイッチは裏側

ここはみなさん普通にやっている部分でしょう。ダイヤルでレバー距離を4段階に調整出来ます。ブレーキ灯を点灯させるためのマイクロスイッチは裏側にありますが、リアブレーキと違って点灯タイミングの調整機構はありません。でも当たり面を削ったりテープを巻けば可能かも?

遊び(静止位置から、レバーを引いて抵抗が重くなり始めるまでの移動量)の規定はレバーの先端で5〜20ミリですが調整は出来ませんので、支点が摩耗するなどしてオーバーしてきたらレバーごと交換です。

このレバー、新品と握り較べたりボルトを抜いて分解してみるとわかりますけど、長く使っていると支点部分が摩耗してけっこうグラグラしているものです。少しずつ減っていくので気づきにくいのでしょうね。このガタはブレーキのタッチにもかなり影響するようですので、新品に替えてみるだけでもだいぶ違ってくるかもしれません。高価なステンメッシュホースなど驕る前にちょっと考えてみてもいいでしょう。

参考:My GSX-R・ブレーキレバーに関する考察

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クラッチレバー

左側のクラッチレバー ゴムをめくると調整部が エンジン側にも同じ物が

根本のゴムカバーをめくると、ワイヤーの張りを調整するスクリューが見えます。遊び(クラッチレバーが軽く動く範囲)の規定はブレーキ側とはちょっと違い、レバーの先端で10〜15ミリ。エンジン側にも同様の調整スクリューがあります。調整のやり方自体は見ればすぐわかると思いますので特に書きません。

レバー支点のボルト・ナットは締めすぎると動きが固くなってしまいますので注意。

カワサキ・ゼファーχのクラッチレバー

作者はまだやってみた事はありませんが、カワサキのゼファーやZZR用の調整ダイヤルつきクラッチレバーがそのまま流用出来るという話は有名です。(写真はゼファーχの5段階調節付きクラッチレバー)

全体の構造がまるで違うので、おそらくレバーのみ買ってきても無理でしょう。根元のホルダーごと交換する必要があると思います。


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クラッチプッシュロッド

クラッチプッシュロッドの調整部 カバーを外した状態

エンジン内部にあるクラッチのプッシュロッドを押す部分は、エンジン左側にある丸いフタのちょうど裏側にあたります。ここをネジの要領で左(反時計方向)に回して開け、中にある調整ネジでロッドとレバーの間の遊び(ワイヤーの遊びとはまた別)を調整します。

まずクラッチワイヤーを緩くする 外側がロックナット、中心がレリーズスクリュ レリーズ位置を決め、ロックナットで固定

まずクラッチワイヤーの張り調整部分をゆるめ、遊びをうんと大きくします。

次に六角形のロックナット(A)を左回しにゆるめます。かなり固いですので、オープンスパナよりボックスレンチでやるのがいいかも。

そして中心にあるマイナスのレリーズスクリュー(B)を軽く右回しに締め込んでいき、グッと抵抗を感じるポイント、つまりスクリューの先端が内部にあるプッシュロッドに当たる位置を見つけます。そこから左に4分の1回転戻し、その位置を保持したまま、ロックナット(A)を締め、動かないよう確実に固定します。

あとはフタを元通り閉め、レバーの遊び調整を再度やって完了

実は作者はこのBandit250を手に入れてから何年もの間、ここを開けた事がありませんでした。丸いフタが固く固着していて回せなかったのです。CRC556を何日にもわたって表と裏から吹きかけたり、ガスバーナーであぶったり、何度も何度もタガネでコツコツ叩きましたが、ビクともしません。
そこで手間はかかりますが、全体のカバーごと外して内部のスクリュー式シリンダーを抜きとれば調整ネジには一応さわれるので、それでどうにか済ませていました。これでもとりあえずクラッチのトラブルは出ていなかったのですが・・。
ある日、試しにあり合わせの鉄板をひっかけて回してみたら、クルッと簡単に回ったのには驚きました。たぶん何年もの間、走行中の振動でゆるんでくれていたのでしょう。この丸いフタは意外と他のユーザーさんからは、すぐとれてしまって、走行中何度も無くしたという話を聞きます。ゆるみやサビ防止のためグリスを少量塗って、ほどほどの力加減で締めておくのが無難のようです。

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レバーの高さ

クラッチの高さ調整 ブレーキの高さ調整

これを自分に合わせて調整している人って意外と少ないみたいですが、ほんの1センチ違っただけでもずいぶん操縦性が変わります。長距離でクラッチ操作が辛いとか、セパハンはポジションがキツイと感じている人はぜひやってみてください。

これ以外で作者がけっこう重要だなと思ったのは、スイッチ類のグリスアップです。特に操作の頻繁なウインカーレバーがスムーズかつ確実に動くようになっただけで走行中の疲労にまで影響してくる気さえするのです。人間って不思議ですね。

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シフトペダル

左足のシフトペダル 地面に垂直なギヤーシフトアーム部分

実物を見ればすぐわかるとおり、両端にネジが切ってあるリンクロッドを回せば伸縮します。一応マニュアルではギヤーシフトアーム(エンジン側のシャフトに噛みついている部分)は地面と垂直にし、ステップ上面からペダル上面までの高低差は40〜50ミリの範囲内で、とあります。

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リアブレーキペダル

右足のブレーキペダルの調整部 抜け止めの割ピンが入っている 調整部は2つのナットで固定

これも見たそのまんまですね。マスターシリンダに直結しているシャフトにあるナットをゆるめ、ペダルの高さを調整します。まず上のナットをゆるめておき、シャフトを回して高さ調整をしたあと、ふたたび上のナットを締めて固定します。下側のナットは逆U字金具の内側に挟まれていて回せないので、シャフトの方を回すわけです。

このシャフトにサビが出ていたりすると固く回しにくいので、割りピンを抜いてペダルから逆U字金具を外し、シャフト側は回らないようにラジオペンチか何かでギュッと掴んでおき、金具の方をグルグル回した方が早いです。シャフトを掴んだ部分に少々傷が入りますが、調整ナットの行かない上の方で掴めば大丈夫。

マニュアルではステップ上面からペダル上面までの高低差を40〜50ミリの範囲内でとあり、シフトペダル側と全く同じです。遊びはペダル先端で5〜15ミリ以内ですが、これもレバー同様に調整機構はなく、連結部分のクリアランス(ガタ)によっているので、遊びが大きすぎる場合は摩耗したパーツを新品交換する事になります。

写真では金具の抜け止めの割りピンが表側になっていますが、これは確か純正では裏側だったはずです。裏はスペースが狭くて作業しにくいので、いつだったか作者が注油などの作業をしやすくするためにウラオモテを入れ替えていたと記憶しています。

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リアブレーキペダルのスイッチ

ペダル裏のブレーキ灯スイッチ ツメは90度ずつ3ヶ所にある 外して調整

ブレーキペダルの高さ調整をやると、ブレーキランプの点灯のタイミングもずれてきますので、これもあわせて調整します。スイッチはすぐ裏側にありますが、ちょっと狭くて装着状態では回しにくいので、車体から外してやります。

まずスイッチへの配線を見つけておきます。それから車体の下に仰向けになってもぐり込み、ペダルの裏側に引っ掛けてある、スイッチへと繋がっているスプリング付きのフックを外します。あとは長めのマイナスドライバーを使って、下にある3ヶ所のツメを軽く押して引っ込めつつ、同時に線を上に引っぱれば、スイッチがはまっているステーの丸い穴からスポッと抜き取れます。

あとはペダルを動かした分だけ樹脂製のナットを回して調整し、再度はめ込んでフックを引っ掛ければセット完了。点灯タイミングのテストは手で押すよりバイクにまたがって実際に足で踏んでやった方が確実です。

このスプリング付きフックは普段目の届かない場所にあるので、低年式のBanditではびっくりするくらいサビまくっているかもしれません。走行中に切れたらブレーキ灯が点かなくなって危険ですから、ヤバそうなら新品に替えちゃいましょう。

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アクセル

アクセルワイヤー調整部 キャブ側の固定部分

アクセルの遊び(全閉状態から操作力が重くなり始めるまでのグリップ外周の回転量)は2〜4ミリ。多分もっともライダーの感覚に響く部分ですから、ケーブルの取り回しひとつでかなり感触が変わってきます。出来る限りまっすぐでスムーズなルートを通し、もちろん注油もちゃんとしておきます。

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アイドリング調整スクリュー

アイドリング調整スクリュー 通常は1,600rpm前後

車体左側、キャブの下にある黒いダイヤルを回せば、アイドリング(アクセルを回さない状態でのエンジン回転数)が調整出来ます。右回転(時計回り)で上昇、左回転で下降。マニュアルでは1,600rpmが基準なので、メーターの目盛りでおおむね0と2のまん中からやや左寄り(0と1の間隔はほとんどない)にしておけばいいです。

このダイヤルの奥には細長いスプリングワイヤーが伸びていて、バタフライバルブ(アクセルに連動して動く弁)のストッパー位置をネジの出入りで調節しているだけの単純なものです。ですからダイヤルを左にえんえんと回し続けると、しまいには奥に入っているストッパーネジ部分がキャブ本体から抜け落ちてしまい、細かいワッシャー類をクランクケースの上にバラまく事になりますので注意しましょう。

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チョーク

チョークワイヤー調整部 通常の状態 引いた状態

チョークワイヤーには遊び量の指定はありませんが、使用頻度も少ないし、普通に使っていればそうそういじる事はないでしょう。作者も1度もやった記憶はありません。でもそれだけに日頃の注油には気を使うべき部分と言えます。まあ切れたら切れたでキャブのチョーク開閉部分にハリガネでも引っ掛けて直接引けばいいのですが。

ハンドル側のチョークレバーを動かした時、キャブ側のチョークプランジャがきちんと連動して開閉しているかも要チェック。ワイヤーが渋くなっていると戻りが中途半端になって、レバーを戻したつもりでもプランジャーが完全に締まりきらず、走行中に燃料過多でエンストこいたりする場合があります。戻りにくい時は応急的に左側から指でグイッと押し込んでおいてもいいです。

ワイヤー以外ではキャブ側の金属プレートが変形して動きが渋くなる場合もありますが、これはキャブを降ろさないと直すのは無理。

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ミラー

ミラー根本のロックナット 鏡もグルグル回せる

ここはメッキでピカピカ光っている割には、サビが出るのが早い印象です。特に根本にある位置決め用ナットと支柱のすき間には上からの雨水が溜まり放題なので、たまには動かしてやらないと、いつのまにかガチガチに固まって調整不能に陥ります。

ミラーが立っているレバー根本の材質はアルミ合金の鋳物で、ミラー側のネジ部(スチール製)より軟らかく、脱着を何度も繰り返したり先端のネジ山を傷つけたままねじ込んだりすると、台座側のネジ山がつぶれてしまう可能性があります。実際、とある理由からミラーを頻繁に脱着していたBandit250で、ネジ台座がガバガバになってロックナットも効かず、しまいにはミラーがスポンと抜けてしまった場面に遭遇した事があります。

そうでなくてもこの部分のネジ山はあまりタイトに作られていないようで、半分くらいねじ込んだ状態で揺らすとかなり大きく動きます。水温計やGPSなどの支持台を共締めしている人もいると思いますが、走行中の振動で大きなストレスのかかる重量物はなるべく付けない方が無難かもしれません。

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リアサスペンション

リアサスペンション クランプレンチをひっかけて グイッと回す

標準仕様のBandit250で調整出来るのはスプリングのプリロード(バネをあらかじめ圧縮しておく度合い。イニシャルとも)のみ。つまり車高調整です。2人乗りやキャンプで大荷物を積んだ時など、軽く1ノッチ強くするだけでだいぶラクになります。調整範囲は1〜7で標準位置はまん中の4。調整には車載工具にあるカギ爪状の工具クランプレンチを使います。柄の部分に延長用のエクステンションパイプを差し込んでやらないと、回すだけの力が入りません。

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ヘッドライト

ライトの上下調整 正面の小ネジは左右方向の振り

車検のない250ccではライト(光軸)を調整する機会はほとんどないでしょうが、たまにはチェックしてみてください。うまく調整されていない上向き加減のライトは、視点がバイクよりも低めの4輪ドライバーから見るととても眩しく感じます。場合によってはケンカの原因になる事さえありますから。

それとタンデムや大荷物を積んだ状態ではどうしてもリア下がりになりやすいので、知らず知らずのうちに光軸が上向きになっていたりします。上記のリアサス調整も合わせてやってみてください。

光軸調整範囲の図

マニュアルの規定では、

距離10mの垂直な壁にまっすぐ照らし、照射範囲が水平位置からヘッドライト取り付け高さの5分の1下向きの範囲まで

となっています。左右方向の調整では真正面から気持ち左よりに光の中心を持っていきます。右側を照らすようだと対向車線のドライバーの目を直接照らして眩惑(げんわく)する可能性が高くなり危険だからです。

Bandit250とは関係ないですが、車種によってはライトのレンズや反射板の形状そのものを左右非対称にして、対向車線への直接照射を減らしているタイプがあります。輸出仕様で日本と逆の右側通行用になっていると、そのままでは車検に通らないケースもあります。

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ホーン

ホーン(クラクション) 裏側のネジで調整 正面のナットは要注意

これは調整以前にあまりピーピー鳴らすものではないですが(渋滞の多い都市部ではそうでもない?)、裏側にある小さなプラスネジを回す事で音の出方が変わります。締め込むと小さく、緩めると大きくなりますが、緩めすぎてもうまく鳴らないようですから、ほどほどの所で調整しておきます。作者は緩みや脱落防止のためにボンド(セメダインスーパーX2)をネジ部分に少し塗っています。

ホーン前面のまん中にある8ミリの袋ナットはいっぱいに締め込むと振動板の動きが規制されるのか、ぜんぜん鳴らなくなります。といってゆるめすぎるとビリビリと変な音になるし、ナットが走行中落っこちる可能性もありますので、これまたほどほどに・・というより、こっち側はいじらない方がいいかも? 別に中身がバラせるわけではないですし、外すのは反響板のサビ落としをする時くらいでしょうか。

このホーンをフレーム側に固定しているボルト部分はなぜかM7という、国内ではほとんど使われる事のないヘンなサイズ。六角ナットも二面幅(六角形の平行な面どうしの間隔)が11ミリで、これに合うスパナもちょっとないかも。作者はモンキーレンチで脱着しました。もしこのナットを走行中に落としても、その辺のホームセンターにはM7サイズはまず売ってないと思いますから、締め込み加減には要注意です。

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