潤滑に使われるCRC556スプレーはゴムや樹脂を痛めますので、このようなキャブ内部には絶対使わないでください。
いくらジェットやニードルをきれいにしても、ここが劣化していると余計なガソリンが入ってしまいます。同じスズキのRFもここのトラブルが多いようです。
まず、チョークバルブを4本まとめて動かしている金属プレートを外します。
黒い樹脂のスライダーが2ヶ所裏側にありますので、ラジオペンチで軽く挟んで押せば簡単に抜けます。あとはバルブにかかっているツメを外し、チョークワイヤーの白いホルダーから抜くだけです。
バルブ部分も上下のツメ部分をラジオペンチで軽く挟んで引っぱれば抜けます。内側のバルブもちょっとせまいけど抜く事が出来ます。ゴム部分を傷つけないように、きれいに掃除しましょう。
キャブ側の掃除も忘れずに。上部の黒いトップキャップを開けると、丸い穴の奥に開閉部分が見えます。
4ヶ所のチョークバルブを連動させている金属プレートはあまりしっかりとした物ではなく、ちょっとした事で曲がりがちです。これがまっすぐスムーズに動いてくれないと、チョークレバーの動きが固くなったり、レバーを閉めたつもりでもバルブ側がうまく閉まってくれない場合がありますので、よくチェックしてみてください。
パイロットジェットやメインジェットへ通じる空気の流量はここで決まります。
左側の穴の小さい方がパイロット系、右側がメイン系です。ブローバイガスの油分などで詰まっている場合もあるので、念入りに掃除しておきましょう。
細いハリガネ等を注意深く差し込んで穴を通します。荷札に使われる極細のハリガネは細くしなやかなのでよく使われます。
エアジェットをキリ先やミニドライバーなどで不用意に傷つけないでください。圧入されているエアジェットの交換はかなり困難、というよりも不可能に近いです。
チャンバーはきれいでも、ここに錆ゴミが溜まっている場合があります。盲点のひとつです。
ドレンネジを六角で外し、穴を覗きながらゴミを取り除きます。内側に段差があるのでけっこう取りにくいです。
最後にちょっとヤバイ部分をひとつ。
ここはキャブのボア内のパイロット噴出口の直下にあたるため、長期放置車などでは水や汚れたガソリンがたまりがちな部分。しかしここはあまり触らない方がいいです。
それはこの部分のOリングやキャップのパーツがなぜかパーツリストに載っていないので、もし傷つけてしまっても交換出来ないからです。メーカ側としては「ここは開けてくれるな」という事なのでしょう。裏技的なルートでメーカーから取り寄せた事のある方もおられるようですが、誰もが可能なわけではありません。というわけで、それなりに覚悟を決めてからバラしてください。
さわるのが不安な方は隣にあるパイロットスクリュー(PS)だけでも外して掃除しておきましょう。もちろんスクリューを抜く前に現在の戻し量をきちんとチェックします。
写真を見てもわかるとおり、ホルダーは差し込む向きが決まっています。しかし若干回転出来てしまうので、角度によってはパイロット経路をおかしくする可能性があります。位置決めのミゾなどありませんので、抜き取る前にフチにマジックなどで印をつけておく事をお薦めします。
でもこの程度の気遣いが習慣づいてないような人には手を出して欲しくないなぁ、というのが正直なところです。