人吉市街地から約11キロ、一武(いちぶ)という所にある休憩所に到着。男女別のしっかりした水洗トイレと、飲み水の出る水道があります。
一武の休憩所を出るとすぐ、サイクリングロードは堤防の下側へとつづら折れに降りてゆきます。
このような場所が球磨川沿い全体に何カ所かあり、道はいいけど単調になりがちな走りに変化をもたらしてくれています。
堤防の下でもほぼ同じ広さの舗装路が続き、実に快適。
途中いくつもある橋の下をくぐりつつ、上流へと向かいます。
夏草が高く生い茂る時期にはカーブの向こう側がよく見えなくなる場所もありますので、ベルを鳴らしつつ、ゆっくりと進んでください。
一武休憩所から数キロにわたる上流域、とりわけ球磨大橋を中心とする球磨川河川敷一帯は、希少種ツクシイバラの自生地としても知られています。
これはノイバラの仲間でバラの原種とも言われており、熊本以外にも宮崎や鹿児島などで見られますが数は少なく、一箇所にこれだけ群生している例は非常に珍しいそうです。
一般的なノイバラと違う点は枝の先に赤い毛のようなものが細かく生えていて、花も少し大きめ。花の時期もノイバラよりやや遅く、後を引き継ぐように咲きます。
毎年5月中旬から6月の梅雨入り前頃にかけて、可愛いピンクや白の花の群れがそこかしこに見られ、サイクリングロードは独特の甘い香りでいっぱいに満たされ、地元の各種イベントで賑わいます。
人吉市街地から約17キロ、赤い欄干が鮮やかな明廿橋(めいはたばし)のたもとにある向町河川公園に到着。
川沿いには広々とした芝生の立派な公園があり、堤防の上に男女別水洗トイレと水場が設置されています。
この明廿橋を向こう岸に渡ると、あさぎり町の役場支所などがある比較的にぎやかな場所に出るので、自販機が使えます。
橋から右に行った先にある深田小学校の向かいには食料品店もあります。
このあたりから球磨川は大きく蛇行。サイクリングロードもそれに沿ってカーブが多くなって来る印象。
人吉市街地から約22キロ、すぐ横の川中に広い中州が見える中島親水公園に到着。広々とした芝生や、何やら円形の舞台のような施設があります。
橋のたもとには男女別の水洗トイレと水場、そしてサイクリングロード中では数少ない屋根付きベンチが作られています。
円形の舞台には、かつてここにあった自治体、須恵村の名前と頭文字の「す」を図案化したマークが刻まれています。
一見単調な景色のように見えますが、注意していると向こう岸の風景や川面もどんどん変化します。上流に行くに従って、飛び回る鳥の種類も少し変わっていくようです。
球磨川サイクリングロードの行程も残り三分の一を切りました。ゆっくり楽しみながら進みましょう。
人吉市街地から約24キロ、吊り橋構造をした里の城大橋の下にある桜堤公園休憩所に到着。緑色をした三角屋根のあるベンチが目を引きます。
橋の下には青々とした芝生の広場があって、日かげもあるので三角屋根の狭いベンチよりこっちの方が昼寝するにはよさそうです。ただし芝生内には自転車の乗り入れは禁止ですので注意です。
橋の下には男女別水洗トイレが備えられています。
ひとつ先の里城橋のたもとにも、もう一カ所、男女別水洗トイレがあります。
このあたりまで来ると、道の進行方向正面に熊本県第二の高峰、市房山(1,721m)が大きく見えます。
(※ちなみに熊本県内で一番高い山は八代市と宮崎県椎葉村にまたがる国見岳(1,739m))
サイクリングロードは、くま川鉄道の東多良木(ひがしたらぎ)駅のすぐ横を通ります。
この先は球磨川サイクリングロードとして最後に完成した部分でもあり、舗装路面も比較的新しく走りやすい印象です。
九州山地の雄大な景色と昔ながらの素朴なホーム。撮影ポイントとしても人気の高い駅です。
(※この写真は真冬に撮ったものです。向こうに見えるは雪化粧した市房山)
ここの待合所とプラットホームは国の有形文化財として登録され、大切に保存されています。
この先のルートは球磨川から引き込まれている用水路、百太郎溝(ひゃくたろうみぞ)沿いに延びており、涼しげな水音が響いています。
竹林を抜けると、ゴール手前の最後の休憩所、百太郎公園があります。水場と男女別水洗トイレ、きれいな芝生があり、昼寝にはもってこい。
公園のそばには川面に降りられる階段も作られています。
先ほどから道の横に流れていた百太郎溝はここから取水されており、かなり大がかりな堰堤が川の中に作られているのが見えます。
公園の中には昔の巨大な水門が今も保存されており、歴史ある施設のようです。
この周辺は一般道と一緒になっていて、農家のすぐ横を通る部分も。農作業用の大型機械が停まっている事もありますので、安全に留意しつつ、ゆっくり走り抜けます。
小さな橋を越えて川沿いを進むと、鉄骨造りの古渕橋が見えてきます。
この橋のたもとで、サイクリングロードとして整備された道は終わります。この先は国道を渡ってゴールの湯前駅まで、一般道との兼用になります。
川から離れる方向へ進むと、すぐ国道219号に出ます。ちょうど正面にコンビニがあって、右側の角には農機具のお店があります。
案内の看板に従ってここから右折しますが、歩道は狭く、車道の交通量もかなり多いので気をつけて進みましょう。
湯前郵便局の前にある横断歩道で、国道を向こう側に渡ります。
そのまままっすぐお寺の横の筋に入り、道なりに進みます。
踏切に出たら、渡らずに手前を左折。
道の向こうに、ゴール地点である湯前駅と、縦長のアーチが特徴的なモニュメント、レールウイングが見えてきます。
人吉市街地からはるばる30キロ、おつかれさまでした。
球磨川サイクリングロードは川の流れに沿っているので、下流の人吉市街地から出発した場合は平均して上り勾配となりますが、急な坂はほとんどなく、初心者でも片道2時間少々でクリアー出来ると思います。
しかし全線往復すれば60キロ以上と、休日のお散歩気分で出かけるにはちょっと厳しい長丁場。初めての人はいきなり全線往復を意気込まず、ほどほどのあたりで引き返すか、くま川鉄道を利用して輪行で移動するのもひとつの方法でしょう。
この路線では前もって予約を入れておけば、完成車のまま分解せずに列車に乗せる事も出来ます(有料)。詳しくはくま川鉄道まで問い合わせてみてください。
湯前駅にはレンタサイクルのステーションもあるので、列車に乗って体ひとつでここまで来て、レンタルで散策を楽しむという手もあります。
球磨川に沿って走る、味わいのあるローカル鉄道。輪行にも便利です。
2022年1月13日追記 2020年7月の大水害により、車両の水没や球磨川第四橋梁が流失するなどし、全線に渡って不通状態が続いていましたが、2021年11月より肥後西村駅〜湯前駅(18.9キロ)において部分的な運行が再開されています。
湯前駅のすぐ隣にある、漫画やアニメ作品をテーマとした美術館。
熊本出身の有名漫画家の貴重な原画が常設展示されているほか、こんなイナカの小規模館なのになぜ?と目を疑うような、毎回とても濃い内容の展示をする事で知られています。近年はアニソンや声優イベントなども開催。
人吉周辺は人気アニメ「夏目友人帳」の舞台設定のモデルとされており、熱心なファンの来訪が絶えません。興味ある方はぜひチェックしてみてください。
人吉駅の観光案内所やレンタサイクルのステーションには、サイクリングロード全体の地図や周辺の見どころ、観光スポットをまとめたサイクリングロードMAPが置いてありますので、現地に行かれたらぜひ立ち寄ってみてください。