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ヘッドライトをマルチリフレクターに交換

マルチ交換後の顔つき

最新のクルマやオートバイのカタログを眺めていると、ヘッドライト回りの意匠に凝っているものが多いです。形状の多彩さもさる事ながら、最近の主流はなんといってもマルチリフレクターと呼ばれる反射板をそなえている点でしょう。従来のカットレンズによる配光方式よりも効率よく照らせるのがメリット。フラットで透明なライト面は車両の表情をも一変させ、いかにも今風の顔つきです。

かねてより懸案だった夜間走行時の安全性向上をはかる意味も込め、今回は巷で流行?しているマルチリフレクターライトへの換装作業をおこなってみました。


必要なもの

RAYBRIG製マルチリフレクター・ヘッドランプ
RAYBRIG製のヘッドライトユニット。バルブも同梱されています。
同社でオートバイ専用品として売られているタイプはホンダやカワサキなど一部の車種にしか対応しておらず、しかもちょっと割高なので、今回はロードスター/ジムニー用として出ているFH-03(透明なレンズ)またはFH-04(ブルーのレンズ)を使用します。実売価格6,000円前後。
M4ネジ用ワッシャー
汎用品を入れる関係上、ちょっと寸法が合わない部分がありますのでスペーサーとしてワッシャーをかませます。
金ノコ、プライヤー
これまた汎用品であるがゆえのサイズすり合わせに使います。電動グラインダーでけずり飛ばしてもいいんですが、そんな代物を個人でお持ちの方は少ないでしょう。
その他
潤滑スプレー、7ミリのスパナ(プライヤーでも代用可)、プラスドライバー等。

後期型Banditに取り付ける場合

後期型Bandit250/400に取り付ける場合には、以下に示す初期型用のリングパーツも別途必要になります(価格は2011年9月時点)。

リテーニングリング
パーツNo.35127-45030-000 620円
リング
パーツNo.35130-45030-000 1,350円
スクリュ
パーツNo.02112-04103-000 50円×3個

ノーマルライトの取り外し

まずはヘッドライトまわりを分解し、ノーマルのユニットを取りはずします。プラスドライバーでネジを2本抜くだけ。

純正のライト ライト下部にあるネジを外し ライトユニットを取り外す

ポジション球を抜く

ポジションライトを抜き取る

この改造を行うと、初期型Bandit250・馬力規制前モデル(1989年12月〜1992年8月までの発売)に特有のポジション球は使えなくなりますので、途中のギボシコネクターからひっこ抜いてしまいます。
その後はショート事故を防ぐためにも、コネクター部分をしっかりテーピングしておきましょう。

これまた最近流行のアクセサリーランプ等に配線を流用する手もありますが、それはまた別の機会に。


RAYBRIG製ライト 特徴のある反射板 同梱されていたハロゲンバルブ

RAYBRIG製のヘッドライトを取り出します。セット内にはなかなか強力そうなハロゲンバルブも同梱されていますが、今回は比較のために今まで使っていたお古のバルブを移植して取り付けました。

パーツの分解と組み立て

ライトユニットを取り囲んでいる金属のリング類を分解します。

ライト全景 各部のネジを慎重に外し リングを取り外す

上下の固定ネジは7ミリのスパナでナットを固定したのち回します。このネジはちょっと特殊な形をしていますので、ねじ山をつぶさないよう慎重に外してください。
このネジに限らず、基本的にライト周辺のネジは走行中ずっと風雨にさらされてサビついている場合が多いので、場合によってはCRC556などで潤滑しながら、じっくりと作業します。

ライト前面から入っている光軸調整用の長いネジを外すときは、長いスプリングをどっかに飛ばして無くさないよう注意。

位置をマーキング

位置決めのマーキング

各リングにはちゃんと向きがあって、正しく組まないとうまくはまりません。あとで迷わないよう、マジックで位置をマーキングしておくと楽です。


サイズ合わせ加工

ノーマルのライトを抜き出したら、新しいマルチリフレクターに交換して、前後から2つのリングで挟むようにはめ込みます。

すき間が出来て押し込めない 干渉している部分 1センチ以上すき間が空いてしまう

しかしここでちょっとした問題が発生します。ライトの裏側に位置する金属リングが反射板の裏側と干渉し、表側のリングとの間に大きなすき間があいてしまい、全周3カ所ある位置決めミゾやネジ留めステー部分がぴったりとくっつかないのです。

リングの干渉部分

干渉している部分はライト上側の左右、約半分。ここをどうにかして逃がしてやる必要があります。

3本のネジを長いのに換えればすむじゃないか、というお気楽な解決法もなくはないのですが、夜間走行時にはライダーの命綱ともいえる重要な部分ですし、もしもの脱落事故などがあっては困ります。ちょっと面倒かもしれませんが、しっかりとした施工を心がけましょう。


まず干渉している部分にマジックで印を付けておきます。左右対称ではない点に注意してください。

屋外で金ノコ作業開始 切れ込みを入れてゆき プライヤーで引き起こす

金切り用の金ノコを用意し、印を付けた部分すべてにわたって1センチ弱の切り込みを等間隔で入れてゆきます。

切れ込みを入れ終わったら、プライヤー等で斜めに引き起こします。一部光軸合わせステーの根本のみ金属板が二重になっているので少々曲げにくいですが、慎重にやれば問題ないです。

干渉が解消されたリング ワッシャーを挿入して完成 取り付け終わったリング全景

これで干渉はほぼなくなりました。

実はこれでも内径部分の干渉がほんの少し残っていて、2ミリほどのすき間が出来てしまいます。でもこの程度なら固定ネジにワッシャーを2〜3枚足したうえで締め込めば、がっちりとリングが固定出来ます。

完成

あとは元のパーツを最初のとおりに組み立て、Bandit本体に取り付けて作業は完了。
もちろん作業後には光軸の調整を必ずやってください。


ノーマルとマルチリフレクターとの比較

ノーマルレンズ(ロービーム) ノーマルレンズ(ハイビーム)

暗くなるのを待って、交換前と交換後で点灯テストをしてみました。

マルチリフレクターレンズ(ロービーム) マルチリフレクターレンズ(ハイビーム)

写真ではちょっとわかりにくいかもしれませんが、マルチリフレクターでは照射範囲が横方向に少し広くなったように感じました。特にロービーム時の横への広がりが目だち、夜の山道走行では強い味方になってくれるでしょう。
カットレンズ特有の縞模様も消え、路面をフラットに照らしてくれている印象です。

あとちょっと細かい部分ですが、ノーマルと較べて175グラムの軽量化になりました。(ノーマルレンズ585グラム、マルチリフレクター410グラム
これは金属やガラスを主材料としたノーマルレンズに較べて、新しいマルチリフレクターは留め金などの一部をのぞいてほぼ全てがプラスチック製だからです。バルブの台座部分までがプラの一体成形なので、ちょっとヤワになった印象を持たれるかもしれませんが、今どきの自動車でもほとんど同じような強化樹脂を採用していますし、とりあえずは問題ないでしょう。むしろプラスチックの振動吸収特性によって耐震性は向上してるかも?
軽量化のおかげか、ハンドルの取り回しも心なしか軽くなったように感じました。

PIAA製LED内蔵マルチリフレクターML22の取り付け

これは2011年9月、当サイトの掲示板Ba33さんから提供していただいた情報です。

PIAA製のマルチリフレクターライト

上で書いたRAYBRIGのユニットの他に、PIAAからもバイク用マルチリフレクターユニット・MLシリーズが発売されています。中でもML22というモデルでは反射板の周囲をぐるっと囲むように円形のLED発光体が仕込まれているのが特徴。青い光の輪はバイクの表情を一変させ、初期型ではポジションランプとしても活用出来ます。

カタログ上では特にスズキBanditに取り付け可能とは謳ってありませんが、直径や奥行き等の寸法はRAYBRIG製ユニットとほぼ同じですので、少し工夫すれば取り付け可能です。


LEDの配線がリングに干渉してしまう

PIAA製のML22は、上で書いたRAYBRIG製ユニットと違って反射板がリングに干渉しないので取り付けは楽です。

唯一の問題点は、LED発光体に電源を送るためのラインがリングの真下から出ている事。これがリングパーツともろにぶち当たってしまいます。


干渉する部分をカット

解決策としては、当たる部分を金ノコやグラインダー等でコの字状にカットするだけ。これ以外はボルトオンで付けられます。


LEDへの配線は、初期型Banditの場合ポジション球につながっていたラインをそのまま利用すればOK。プラスの茶色をLED側の白線に、マイナスの黒/白を同じく黒線に接続します。

年代的にポジションランプ装備のないBandit(具体的には1992年9月以降生産のモデル)では、LEDのプラスをキーONと同時に常時点灯するライン(オレンジ)につなぎます。マイナスは黒/白で共通。

ポジションランプスイッチのない車種ではLEDを常時点灯にしておかないと法的にNGです。特に400ccでは車検に通らなくなる可能性がありますので注意。

写真撮影/改造情報提供・Ba33さん