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MSRウィスパーライト・ポンプに亀裂、新型スタンダードポンプに交換

標準ポンプの亀裂

2005年4月4日

亀裂箇所

作者愛用のガソリンストーブ、MSRウィスパーライト600インターナショナルは新品で買って使い始めてからもう6年目ですが、つい1ヶ月ほど前、燃料の送出量を調整する火力調整コックの根本の部分に亀裂が走っているのを見つけました。今のところ燃料漏れはありませんが、このまま放置すれば、亀裂が成長して漏れが出るのは時間の問題だろうと思われます。

考えられる原因としては、まず注油のため脱着回数の多い部分だった事(といっても年に数回程度ですが)。脱着時に無理な力をかけたつもりはないですが、金属ネジを樹脂に締め込む際、ややきつめに押し広げるような感覚は常にあったと思います。

それ以外では、燃料を入れる際にポンプ全体をねじって抜く時、一番指をかけやすいこの部分に無意識に力を入れていた影響もあるかもしれません。


亀裂箇所

つい最近、九州のキャンプ仲間が愛用していた同じMSR社製のDragonFlyという機種でも同様の調整コック基部の破損があったばかり。両者ともほぼ同じ仕様の燃料ポンプを採用しているのですが、やはりこの部分にはストレスがかかりやすいのでしょうか?

ちなみに、この亀裂に気が付いたは車の中でした。年明けから3ヶ月以上もの間、ずっと車の荷室に放りっぱなしにしていたのです。冬場とは言え日中の密閉された車内の高温と朝夕の冷気による温度変化はけっこう大きかった事でしょう。走行中の振動も相応に影響していた可能性があります。

無理な使い方さえしなければMSRは壊れない、というのが作者の持論でしたが、これがある意味無理な使い方だったのかもしれません・・。

近年仕様変更になったという新型のポンプユニットは、全体の材質や調整コック形状が大幅に変更されているらしいですが、さいわい旧型とも互換性があるようなので、亀裂部分から燃料漏れの危険のあるポンプをずっと使い続けるよりはと、思いきって新しいポンプを注文しました。

現在のポンプもとりあえず亀裂部分に接着剤を充填した上から針金で巻いて補強。この後まだ1タンク程度しか使っていませんが、今のところ漏れは出ていません。あと数日中には新型ポンプが届く予定ですので、あらためて比較やテストをしてみたいと思います。


MSRスタンダードポンプ

2005年4月7日

MSRスタンダードポンプ・セット一式

新しいポンプが届きました。2004年にフルモデルチェンジされたMSRスタンダードポンプ、5,985円。作者の近所にはこの手の製品を扱うお店がないので、ネット通販で購入しました。


新旧ポンプの比較

従来品と比較してみると、まずボディの色がグレーから黒っぽい樹脂に変わり、火力調整コックが折り畳み式になったのが目につきます。下に伸びた燃料チューブの先端にはフィルターがホチキスのような針で固定されており、上の空気注入側は従来のチューブ式からエントツのような形に変更。重さも微妙に軽く感じます。

ピストンして加圧をするポンプノブは従来通りの樹脂製ですが、板厚がやや増しています。動きはすごくスムーズで高精度な印象。途中にフランジをねじってノブを脱着させるための逃げ(切れ込み)が入っています。旧モデルでもこの樹脂製ノブは全くトラブルなしだったので気になりませんが、初めて使う人はこの切れ込みを見て「ここから折れるのでは?」なんて不安に思うかもしれません。


新ポンプ

燃料ボトルに接する部分は軟らかいゴム系の材質で覆うようなリングが付き、接合部分がほとんどむき出しだった旧モデルよりも安全性が増している印象です。幅も広いので、ボトルの脱着時にはこの部分をつかんで回せば、他の突起部分にストレスがかかりにくくなるでしょう。


新ポンプ

火力調整コックの基部は旧モデルの内部ねじ込み式から外側覆い式に変更されています。内部の構造も少し異なっていました。


新ポンプ

ネジ部の二面幅は変わっていないので、旧モデルに付属のレンチでもピッタリ合います。


新ポンプ

カタログ写真の段階で一番気になっていたのが、ストーブとポンプを連結させている金具のロック部分。旧モデルではほぼ真裏に溝が切ってあるだけのシンプルなものでしたが、新型ではわざわざ外側に張り出すように成形されているので、うっかり落とすなどして衝撃が加わった際、この突起部分が真っ先に折れそうに思えたからです。


新ポンプ

でも実物は意外と厚みがあって補強も入っているし、仮に折れたとしても写真のようにムリヤリ奥側に回して固定する裏技も使えるようなので、とりあえずは気にしない事にします。


干渉する箇所

旧モデルと互換性がある、というのが謳い文句でしたが、1ヶ所だけすり合わせの悪い部分がありました。火力調整コックの根本の針金と固定金具の端が干渉し、回すたびカチカチ当たるのです。もっともこれはペンチで金具を微妙に曲げ、外側に反らせる事で間単に解決出来ました。


防風シールド新旧

新ポンプには防風シールドも同梱されていました。今使っているのはかなり汚れてボロっちくなっていたので、ポンプを注文する時いっしょに買おうかと思ったけど、シールドだけでも値段が千円くらいするし「今のでもまだ使えるしなぁ・・」とケチって注文せずにいたので、これは嬉しいオマケです。火口直下にはめ込むリング状の反射板は入っていませんでしたが、たぶん機種毎にサイズが異なるせいでしょう。

でも新品のピカピカを汚すのが何だかもったいなくて、その後も結局使っていません・・。


使用感について

2005年4月7日

これは2004年以降に仕様変更され発売されたMSRスタンダードポンプに、2000年購入のMSRウィスパーライト600インターナショナルのバーナー部をセットし、ごく普通にガソリンスタンドで入れる自動車用レギュラーガソリン(赤ガス)を燃料にした時の使用感レポートです。

ネットで「MSR スタンダードポンプ」で検索してみても、旧モデルとの明確な差異を挙げてあるサイトはまだ少ないようです。メーカー側の箱書きには「優れた火力調節機能により料理の幅を向上」などとあるのですが、正直それほど向上した感じはありません。むしろ消火位置と弱火の加減がかなり微妙で、しかも消火位置近辺でのコック操作がけっこう固いんです。

プレヒート時のガソリン出しも加減がむつかしい印象。それ以外の中火〜強火の領域ではまあまあリニアに反応しているかなと思いましたが、いわゆるトロ火調整は従来モデル同様に厳しいですね。カタログの宣伝文句を読んで期待していた人は、ちょっと裏切られた気持ちになるかもしれません。

ただ旧モデルでは弱火にしてもすぐに消え入ってしまう事がよくありましたが、新ポンプはそのあたりの節度が効いていて、低出力を維持出来る時間が長いようです。ポンプ機構が改善されたせいかポンピング回数も旧モデルより少なくてすむ感じ。むしろ今までのような回数で押し込むと火が強くなりすぎました。

加えてポンピング後の残圧でノブが少し飛び出すのが旧モデルの癖でしたが、新モデルでは首いっぱいまでスコンと入ったまま、ちゃんと止まります。

いずれにせよ旧モデルの操作に慣れてしまっていると、最初の一発目は違和感があるでしょう。まだ新品で可動部がこなれていないせいもあるでしょうし、まずはMSRを最初に買った日の事を思い出し、今までどおりガンガン使い込んで行こうと思います。


2005年4月23日追記 MSRの新ポンプを使って1合炊きをやってみました。ちょっと不慣れな所もありましたが、以前と同じように難なく炊きあげる事が出来ました。

2015年10月24日

スタンダードポンプを使い始めて11年目、火力調整コックの根本にあるOリング(赤いほう)が劣化、加圧するとガソリンが漏れて来るようになりました。純正のスペアパーツに交換すべきですが、新型ポンプ用のパーツが手元になく、とりあえずバイクのキャブレター用に買い置きしてあったほぼ同じサイズの耐油性Oリングに交換し、どうにかまた使えるようになりました。

数時間連続で使っても漏れは一切なく、このままでも問題はないでしょうが、念のため後日純正のリペアキットを取り寄せる事にします。


2004年にモデルチェンジしたスタンダードポンプと旧型のポンプは外見はよく似ていますが、内部のOリングやポンプに接するゴムパーツが異なっているので、旧型セットに付属していたメンテナンスパーツは使えません。新しいスタンダードポンプ用のアニュアル メンテナンスキットを使うようにしてください。