Bandit250は水冷エンジン車なので、水温警告灯は標準装備。走行中に異常な高温になったら、メーター直下の赤い警告灯が光るようになっています。
しかしこれだけでは水温そのものを知る事は出来ませんし、年式の古いものはバイメタル式温度スイッチの動きが鈍くなるのか、設定温度以下で警告灯が点いたり、冷えても消えずに点きっぱなしになったりする事があるようで、いまいちアテに出来ない印象があります。エンジンのコンディションをきちんと把握するには、やはりリアルタイムで表示される水温計が必須でしょう。
Banditシリーズでは初期型のLimited仕様車にのみアナログ水温計が標準装備されていますが、針式ゆえに正確な温度までは読めませんし、メーター部や冷却水路パーツの構造が異なっているので流用はまず無理。そこで後付けメーターではいちばんポピュラーな、ヨシムラ製のデジタル水温計を取り付けてみました。
テンプメーターの接続コネクターは製造時期によって形状が異なるようで、中古品をバラで買ったりすると合わない事があります。詳細はヨシムラに問い合わせてみてください。
この作業はエンジンが熱いときは絶対やってはいけません。エンジンが熱いときにうっかり水温センサーを抜くと熱水が噴き出して大ヤケドをする事になります。必ずエンジンが冷たいときにやってください。
まず最初にタンクを降ろします。
エンジンの上にあるウォータ・テンパレチャ(黒い冷却水パイプが何本か出入りしているアルミのブロック。中にはサーモスタットが収まっている)の上側に入っている、コードの生えている六角ボルトのようなものが温度スイッチです。これを赤いセンサーと交換します。
黒いコネクタを抜いて、普通のボルトと同じようにレンチで回して外します。根本にはまっているゴム製Oリングは再利用するので捨てないでください。
TYPE-Bセンサー(2001年7月購入)付属の取説によれば、
※〜96BANDIT250/400,GSX400/250KATANA,〜96GSX400INPULSEの水温センサーに使用する場合は、車輌のOリングのみを使用します。
とあります。つまりヨシムラの温度センサーに付属している小さなOリングや金属ワッシャーは使いません。作者の90年式初期型Bandit250でもこの説明のとおり再利用のOリングのみを入れて締めましたが、取り付け後数年を経た今も水漏れその他の異常は全くありません。
(ちなみに引用文中のINPULSEは正しくはIMPULSEですが、一応原文のまま書きました)
元の温度スイッチに付いていたOリングを傷つけないよう外し、TYPE-Bの温度センサーに付属の取説どおりにはめ込み、ウォータ・テンパレチャにしっかりと締め込みます。といってもムキになって力一杯締め込む必要はありません。普通でいいです。
コードはプラグ交換などの邪魔にならないルートを考え、しっかり接続しておきます。純正の温度スイッチに繋がっていたハーネスはもう使いませんので、コネクタ部でショートしないようにテーピングしたのち、端に寄せてバンド等で束ねておきます。こういう場合、もう使わないからと言って単純にちょん切ってしまうのは得策ではありません。もしもテンプメーターが故障したり、メーターを他のバイクに付けかえるなどしてノーマル状態に戻す必要に迫られた時、余計な手間が増える事になります。
エンジンオイルの温度、つまり油温を測りたい場合はTYPE-Aのセンサーを使い、エンジン右側にあるオイルギャラリボルトと交換します。ヨシムラの取説に「右クランク上後オイルギャラリ」と書いてあるのがこの部分です。
Bandit250Limitedの水温センサーは標準仕様と構造が異なっており、標準装備であるアナログ針式水温計用のセンサーがテンパレチャの下側、冷却ファン用スイッチの隣に並んで付いています。これをヨシムラのものと交換しますが、サイズが標準仕様よりずっと小さいのでTYPE-Cという細いセンサーを使います。Oリングを再利用するかどうかはセンサー添付の取説を参照してください。
ただしセンサーの位置がテンパレチャの真下なので、そのまま抜くと中の冷却水がドバッと落ちてきますから、まず冷却水を抜いておく必要があるでしょう。
テンプメーター本体にはこのようなアルミ製カバーを作ってみました。
短い汎用ステーをメーターの外形に合わせて曲げ、間に黒いゴムをはさんで固定。アルミパネルの窓のフチにも幅広の輪ゴムを切って貼り付け、傷つけずに密着固定出来るようにしています。
パネルの材質は1ミリ厚のアルミ板。加工しやすく、大げさな工具がなくても自在に曲げたり切ったり出来ます。寸法はまったくの現物合わせで、最初に段ボールや厚紙で型紙を試作してからアルミ板に写して切り出すと上手くいきます。直角に曲げる部分には折り目にそって当て木をし、シャックルなどで固定してやった方がきれいに曲げられます。
カバー下側は左右セパハンのボルトに共締め。上面はブリッジ面にM3のネジ穴をドリルとタップで加工し、ビスで固定しています。
ここまで凝らずとも適当な場所にマジックテープで固定してもいいですが、カウル付きの大型バイクならともかく、Bandit250のような小型ネイキッドにはこういった小物類を取り付けるスペース的な余裕があまりないですね。ヨシムラからもミラーの支柱に固定出来る別売りプレートが出ていますが、この程度の板ならわざわざ買うより自作した方が早いかも?
作者は最初、角材を削ってくさび形にしたものを前ブレーキのタンクの上に貼り付け、この上にテンプメーターを取り付けて、運転中でも表示が見やすいように傾けた状態で固定していました。
その後北海道を目指す長距離ツーリングに備えて準備をしていた時、耐候性の向上やもしもの盗難にそなえて、上記の説明にあるようなアルミ板のカバーを作る事を思いつきました。フェリー船内や休憩の時などバイクを離れるたびいちいちコネクターを外すのはメンドクサイなぁと考えたのです。
メーター本体のサイズその他は仕様を参照してください。
配線手順は簡単なので、特に書く事はありません。メーターからのコードは電圧測定/照明電源用と温度センサー用の2本ありますが、コネクタの向きが両方で違わせてあるので、差し間違える事はないです。バイクからの電源の取り方も説明書にあるとおりでOK。
安全のため配線作業時はメインヒューズ(25A)を抜いておくか、バッテリーのマイナス端子を外しておいた方がいいでしょう。
今まではあまり気にしなかった水温がリアルタイムで出るようになると、ほんのちょっとした事で、こんなにも水温が変化していたのかと驚きます。夏場ちょっと信号待ちをしているとグングン上昇し、動きの悪い道路では100度くらいに達するのも珍しくないです。トラックの後ろにつくと風が弱くなるのか少し上がり気味で、木立の多い道など日陰を走るとスーッと下がったり。年間通しての適温は75度から80度前後というところでしょうか。
ふだんはバイクのエンジンを調子がいい・よくないの両極端で判断しがちですが、こうやって温度変化が目に見えるようになると、それぞれの温度域でエンジンの振る舞いも微妙に変わるのがわかります。過酷な環境で一生懸命動いているエンジンを、もっといたわってあげたくなりますね。
電圧も表示されますので、ライトをつけたり、グリップヒーターなどの電装品をオンにしたときに電圧が微妙に変化するのがわかります。古いバイクはレギュレーターに使われている半導体が劣化してくる事が多いですが、毎日使っていてもなかなか気付きにくいもの。しかし電圧計があれば、異常な高電圧やバッテリー劣化による電圧低下がモニター出来るので、いざという時トラブル解消の手がかりにもなるでしょう。
時計表示もけっこう便利。最近のバイクにはオドメーターや燃料計と切り替え式の時計が内蔵されているのが多いですが、これは切り替えなくても常に表示されているのがいい点。以前は安物の腕時計をハンドルに巻き付けていましたが、夜はいちいち照明ボタンを押さねばならず面倒でした。
このテンプメーターはメインキーをオフにしているときは表示は消えますが(消さない設定も可)、ボタンを押せば数秒間表示が出ますので、停車中も時刻を確認する事が出来ます。ただしバックライトは点かないのが残念。
テンプメーターの液晶表示はバイクからの電源によるものではなく、ウラ蓋に内蔵されたリチウムボタン電池CR2032で動いています。消耗してくると右上にBATTサインが出て電池交換を促します。取説によれば連続で800時間、1日に2時間使った場合約1年持つとあります。
2003年10月25日追記 今日やっとバッテリー消耗のサインが1日中点滅しっぱなしになりました。この間3年と3ヶ月、ずいぶん長持ちしたものです。交換時に電圧を測ってみたら古い電池が2.77V、新品が3.17Vでした。
2005年2月13日追記 前回の電池交換から1年4ヶ月弱が経過、時計を確認したらこの期間で約2分の遅れが出ていました。平均月差15秒以内という仕様からすれば、そこそこ優秀と言えますね。カバーが効いているのでしょうか?
2006年12月10日追記 前回交換より3年2ヶ月経過、消耗サインが出たので電池交換。実測電圧2.55V、時計の遅れは約12分。
2008年12月8日追記 前回交換より2年経過、消耗サインが出たので電池交換。電圧実測2.64V、時計の遅れは約7分。持ちが短かったのは、百円ショップの安いボタン電池を使ったせいかもしれません。今回はちゃんとメーカー品(Panasonic・税込315円)を入れておきました。