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燃料タンクの掃除

六角レンチでネジをゆるめ

あなたのBanditの燃料タンクの中はきれいですか?

構造上奥底までは見えませんが、見えている部分がピカピカにきれいだからといって、全部がそうではない事もあります。特にいちばん底の部分は長期間のうちに何がどれだけ溜まっているやら・・まぁタンクの掃除なんて頻繁にやる必要はないと思いますが、何年かに1回はやってみても損はないでしょう。


必要なもの

ペットボトルやポリタンク
抜いたガソリンを一時的に入れておく容器。消防法では専用の金属容器でないとNGですが、一時的にためておくなら大丈夫でしょう。そのかわり管理や廃棄はしっかりと!
燃料コックのガスケット
ここは脱着毎に交換する事が推奨されています。再利用してもいいですが、場所が場所だけに少しの漏れでも大変な事になります。安全には気を遣いましょう!
サビ取り用具やスプレー塗料
タンクの裏側はけっこうサビがひどかったりします。
10ミリのボックスレンチまたはスパナ
タンクを固定しているボルトを外すときに使います。燃料コックの固定ボルトも10ミリ。
4ミリの六角レンチ
サイドカバーを外す用。シートの下に差し込んであります。
段ボール箱など
降ろしたタンクを置くためのしっかりした台を用意。
その他
燃料ホースが固くて抜けない時はラジオペンチやマイナスドライバーなどが必要。

タンク・燃料コックの取り外し

まずタンクを降ろします。この作業ではタンク内のガソリンを全部外に出すので、残量をうんと少なくしてからやった方がいいです。と言ってもあまり粘ると残量ゼロになって家まで押して帰るハメになるかも・・。

取説では全容量14リットルで、このうちリザーブが約3.5リットルと記載されていますから、おおむね10.5リットル使った時点でリザーブに入る筈ですが、実際には11リットル以上持つ事も多いので、あくまで目安のようです。

タンクを降ろしたら、燃料コックを外します。この間タンクは中身がこぼれないよう右側に傾けて置きます。中身が少ないからと言って裏返しにしたらキャップ部分からダダ漏れしてきますので注意。

ペットボトル

タンク内に残ったガソリンは別の容器に移します。状態を見るためにはなるべく透明な容器がいいでしょう。この写真ではペットボトルですが、消防法では一応禁じられていますので、確認したら早めに金属容器かポリタンクに移しておいた方が安全です。


汚れのチェック

底にたまる タンク内のゴミ

抜いたガソリンの底をよ〜く見ると、細かいゴミらしきものが沈んでいます。こういうのが溜まり溜まってキャブその他の燃料系に悪さをするわけです。水がたまっている場合もあって、これはサビの元にもなります。

いくら気を付けていても、どうしてもわずかなゴミは入ってしまうと思います。ガソリンスタンドの地下タンクにも底の方にゴミがたまっていて、給油機のフィルターを通り抜けて入ってしまう事があると聞きますから、何年かに1回はこうやって「棚卸し+大掃除」をしてみましょう。

廃ガソリンについて

出したガソリンは、きれいならバイクに戻してもいいですけど、たいていは何かしらゴミが混じっていると思います。フィルターで念入りにろ過するか、ガソリンスタンドに持参して廃油として処分してもらいましょう。作者はいつもキャンプ用コンロの燃料として再利用しています。

燃料コックにたまったゴミ すき間にもいっぱい タンククリーナー「花咲かG」

タンク内の汚れはリザーブ(RES)やプライマ(PRI)で使用するタンクの最低部にたまり、さらに燃料コックに流れ集まります。この写真では黒い大きな塗料片がいくつか出ました。コックに差し込まれているストレーナ(樹脂製のフィルタ)のすき間にも微少なゴミがたまっています。こんなのが精密なキャブに流れ込んだら不調になるのも無理ない事。流れ込まずともストレーナに張り付いたゴミがガソリンの流れを悪化させてエンジンの息つきを起こしたり、コック内部の負圧開閉弁に引っかかって、停車時にオーバーフローを引き起こす事があります。微細なサビゴミはタンク内のストレーナや市販の燃料フィルターでも完全に阻止する事は出来ません。茶色いサビ汚れがひどい場合は花咲かGに代表されるタンククリーナー(サビ取り剤)で処理してしまった方がいいです。

タンク内部にサビを抱えたままでは、キャブを100回掃除しても完調にはなりません。しかし「たかがサビ程度で・・」と軽く考えている人のなんと多い事か!キャブ内部の精密な構造を理解出来ていない証拠ですね。中古のBanditはキャブが弱いとよく言われますが、PS調整キャブの同調をはじめ、こういう基本的なメンテ作業を面倒がっていては、いつまでたってもまともには動かないです。

最近のサビ取り剤はとても強力で、かなり酷いサビでもきれいに除去してくれますが、作者の経験上、処理後もしばらくの間は若干のサビゴミが出続けるようです。処理をしたからと安心せず、その後も定期的にキャブチャンバーの中をチェックした方がいいと思います。

ただし、サビ化が進行しすぎたタンクでは処理剤が作用しすぎて、底板が極端に薄くなったり穴が開く事があります。KREEMタンクライナーなど特殊なコーティング剤を使う手もなくはないですが、はっきり言って穴が開くほど薄くなったタンクはもう寿命。稀少なクラシックバイクならともかく、そんなサビタンクはとっとと捨てて、まだ手に入る新品のタンク(ただし5〜6万はします)か適当な中古品を見つけて交換した方が安全上いいと思います。

リザーブを使ってサビを防止

外気温の変化の影響でタンク内壁に結露した水滴が各種トラブルの元になる・・というのはよく言われる事ですが、タンク容量を考えても短期間でそれほど多く発生するとは思えません。しかしガソリンより比重の重い水分がタンクの底に少しずつ蓄積され、長い年月のうちに見えない部分をジワジワとサビさせてしまうのは十分考えられる事です。簡単な予防策として燃料コックのリザーブを定期的に使っておけば、最底部からガソリンが吐き出されますから溜まった水も抜けてくれます。車みたいにわざわざ水抜き剤を入れる必要はありません。あれは主成分がアルコールですから、Banditのような古いキャブ車に投入するとエンジンの動きに悪影響が出るおそれがあります。

日頃は短距離の通勤・通学ばかりで長距離を走らない人はリザーブにする機会があまりないと思いますが、バイクのためにもこれからは時々切り替えてあげましょう。ただしすでに底部分にサビゴミが溜まりまくっている場合は、リザーブにした途端エンジンの動きがおかしくなる可能性がありますので注意です。

細かく言うと、タンク内部のストレーナの高さがタンクの底面より数ミリ上に出ているので、リザーブやプライマでガソリンを出し切っても、タンク内にはわずかに残る事になります。ここから先は上記のようにタンクを降ろして掃除するしかないでしょう。

タンク本体のチェック

タンクの底 サビや汚れをこすり取り スプレーで塗装

ガソリンを抜いたら、タンクの底もチェック。ふだん目にしない場所ですから、けっこうなサビが出ていたりします。サビ取りたわしで磨いたあとスプレーで塗装。穴にはサビ粉末や塗料が侵入しないよう念入りにテーピングしておきます。