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川内川源流への道

※文中の()内の数字記号は昭文社刊ツーリングマップル(2000-2001年度版)のページ/エリア番号です。

2000年8月15日

源流行

宮之城町のせんだいがわ

私の住む町は川内市(せんだいし)といい、町の中心部を二分するように大きな川がゆっくりと流れている。その名もズバリ、川内川。

九州有数の大河で、我々は昔からこの川とともに生活してきた。市内の小中高校の校歌で、この川の名を歌詞におりこんでない所は皆無だろう。ひとたび豪雨に見舞われれば荒れ狂い、子供の頃は堤防決壊の危険アリと何度も避難生活をしたものだ。今や巨大な排水設備もあり、浚渫や拡幅工事が繰り返された結果、昔の「暴れ川」の面影はほとんどないが、市役所そばの公園にあるモニュメントの壁に当時の最高水位の記録が残っている。

ところで、ツーリングのお好きな方なら、冒険ライダー・賀曽利隆さんの名は聞いた事があるだろう。日本各地のみならず、世界中をバイクで旅し、素晴らしい紀行文を数多く残されている。最新刊「日本一周バイク旅4万キロ」(上下巻・昭文社・各1,500円)によると、昨年(1999年)4月に通算3度目の日本一周に発ち、西日本を回る行程でわが町にも立ち寄られ、なんとこの川内川の源流まで遡上する”大河源流行”をされている。あのカソリさんがこの田舎町に足跡を残されただけでも感動モノだが、川内川の遡上までをきっちりと本に書き記されているとは、地元ライダーにとってはとても誇らしい事だと思う(もっとも、あのカソリさんが立ち寄ってない町など国内にはほとんど残ってないだろうが)。

この本に影響され、地元の私もひとつ、川内川の源流まで行ってみよう! これが今回の旅のテーマ。途中は未舗装の林道区間があるので、いつもは通勤に使っているオフロード車をひっぱりだした。排気量も125ccと小さく、カソリさんの辿った道をコピーするにはふさわしいかもしれない。


R267を宮之城町へ

宮之城温泉付近

川内川の北岸エリアにあたる大小路町をスタートし、川に沿って東へ延びるR267でまずは宮之城町へ向かう。

(九州:P67/H-5〜P68/D-4)

出発して10分も走れば、川の両岸は鬱蒼とした林に覆われ、早くも下流の管理された面影は薄くなってゆく。となり町の東郷町をすぎると、川は大きく蛇行しだす。川近くに点在する大小の池は、かつて川が盛んに氾濫していたころの名残りかもしれない。

北薩内陸部を南北に貫くR328との結節点、山崎三文字にかかる山崎大橋から見る川内川は、まだ大きな幅をもってはいるが、あちこち瀬があらわれ、鮎釣りの人々で賑わっている。

(九州:P68/D-2)

宮之城町をすぎ、鶴田町に入る。湯田あたりのGS前で左に折れ、宮之城温泉の方向へ。鹿児島には湯田という地名が多く、いずれも温泉が多くある。この宮之城あたりも、いちいちハシゴしていたらそれだけで日が暮れてしまいそうだ。

やや細い流れになった川内川を右手に見つつ、町道から県道397を通過し、鶴田ダムへ向かう。川内川中流域にあたるダム湖周辺は観光地としても人気があり、昨今のアウトドアブームに乗ってか、家族連れが多く見受けられる。ダムの事務所横を通ってダム上の通路を通り、湖の東岸を上ってゆく。

一部狭い部分もあるが、オール舗装で軽快なカーブが多く、軽量なオフ車にとっては走りやすい道だ。ダム湖への数多い支流に架けられた橋は色や種類が様々で、見ているだけでも楽しい。木漏れ日のつづく山間のワインディングをひとしきり走れば、薩摩町を経て大口市へ入る。


ダム下流につづく小径 鶴田ダム