作者が車の運転免許を取得したのは20代も半ばになった頃で、同級生の中ではかなり遅い方だったと記憶しています。それまでずっと首都圏で生活していて、網の目のような公共交通機関がひっきりなしに走り回っている中では、自家用車を持つ必要性をあまり感じなかったからです。田舎暮らしの人にはピンと来ないかもしれませんが、その日の始発と最終以外、バスや列車の時刻表を見る必要がほとんどない、と言えば、都会の便利さがなんとなくわかるのではないでしょうか。
故郷の鹿児島に帰ってきて教習所に通いだしてまず驚いたのが、車の運転手はこんなにも前方を見ている時間が少ないのか!という事。ミラーでの後方確認や左右の死角目視、さらにはスピードメーターのチェックなどで視線があっちこっちに移動し、前方にじっと気を配っている時間が思いの外少なくて、これではよっぽど集中していないとよそ見運転になってしまうなあ・・と痛感したのを覚えています。
自転車は車道を走るのが基本、つまり車と同じ場所を走るわけですから、視覚的な安全対策はとても重要。いくら明るいライトや反射テープを自転車に付けていても、肝心の人間が目立たないままでは、ドライバーにうっかり見過ごされてしまう危険が高まります。とりわけ夜間走行時の服装には十分に気を配るべきでしょう。
黒いTシャツに濃紺のジーパンという、若作りなオッサンにはありがちな格好。
周囲の暗闇に溶け込んでしまって、ドライバーに存在をまったくアピールできていません。地黒の人ならなおさらです。
百円ショップで売っているメッシュ素材の反射ベストを着てみました。
チェーンのかかる右足には同じく反射材付きの裾留めバンド。
たった200円(税抜)の投資でこれだけ目立つようになりました。
だいたい夜道で黒いシャツなんか着てちゃダメですね。夜目にも明るい白のTシャツにすれば、かなり印象が変わります。
本当はボトムス(ズボンやスカート)も明るい色にしたい所ですが、普段着としてはちょっと着にくいでしょうから、とりあえず右足に反射材付きの裾留めバンドをするだけでもかなり違って見えます。出来れば両足あった方がいいですね。
ホームセンターの作業着コーナーに千円位でぶら下がっているポリエステル地の蛍光色の上着。これも夜道でかなり目立ちます。
使わない時はクシャッと小さく丸めておけるので持ち運びも楽。
交通安全協会で配っている反射タスキも、よく光を反射してくれます。自転車だけでなくジョギングや散歩の時にも役立ちますね。
走行中に肩からズレてこないよう、洗濯バサミなどを使って上着に留めておくといいです。
ただしこの手の反射タスキや反射ベストは、しまう時にくるくる巻いたり折り曲げたりする影響で、光を反射するツブツブが下地から剥がれ落ちやすく、何年も使っているとだんだん光らなくなってきます。古いものは暗い場所で離れた所からライトを当てるなどして要チェック。
作者はかつて夕方から早朝にかけて、忙しい日には一晩で200キロ以上も走る夜間代行運転業をしていた事があって、その頃の経験から、夜道で自転車を目立たせるのに一番有効なのは人間の存在を動きや形でアピールする事だと感じています。
チカチカ光る流行りのLED点滅セーフティライトでもいいのですが、強力な点光源はすぐ目に入ってくるものの、他に走っている車やバイク、あるいは道路工事などでごった返す交通環境の中でそれがいったい何なのか?という所までは瞬間的に判断しづらい弱点があります。
一方で、足の動きと連動して交互に上下するペダルの黄色い反射器や裾留めバンド、体そのものにつける反射タスキ、そして人間の形を目立たせる明るい色のウエアならば、夜間運転で疲れたドライバーの目と頭にも、文字どおり反射的に「あそこに人間がいる!」と、考えるよりも早くイメージがひらめき、認識させてくれるのです。
お高いウエアも結構ですが、まずは手近な百円ショップでピカピカ光る反射グッズを探してみて下さい。コイン数枚で安全が買えるなら安いものです。