先日道路を走っていたら、交差点の細い枝道から車が一時停止もなしに飛び出してきて、ウワッ!!と思った瞬間、力一杯かけた急ブレーキのおかげでどうにか事故は避けられました。作者は自転車でもオートバイでも、交差点を通過する時は、こちら側が青信号であっても万が一のためブレーキに指をかけておく習慣があるのですが、それに助けられた形です。
しかしそれから、車体に妙な違和感を感じるように・・・ハンドル根元にガタが出て、加減速の度にグラつくようになりました。
ステアリングヘッドのベアリングのナットが緩んでくると、このような現象がじわじわ起きるのですが、この日はいきなり大きくズレだしました。
帰宅後、ヘッドパーツのロックナットを締め付けても、カクッとズレてしまい、一定以上は締め込めません。これではガタが出っ放しです。
よく見ると、ロックナット側のネジ山が半分以上つぶれており、いわゆる「バカネジ」の状態になっています。
実はこの部分、以前から締め付け加減がちょっと怪しくて、ワッシャーを薄くするなど、ごまかしながら使っていたのですが、今回のパニックブレーキのショックで、つぶれかけていたネジ山が一気に音をあげてしまったようなのです。
こうなると、もはや新品交換しかありません。
ちなみにその時飛び出してきた車(某S工務店の営業車)のドライバーはこちらをチラリと見る事もなく、そのままの勢いで走り去って行きました。腹は立ちますが、今さらしょうがないですね・・。
FDB206のフレームには、一般的なサイズ(フォークコラム外径1インチ)よりもやや大きい1-1/8インチ、いわゆるオーバーサイズという規格のスレッド式ヘッドが使われています。
近年のスポーツ自転車ではロードもMTBもシンプルな構造のアヘッド式を使いますが、それ以前のまだスレッド式が主流だった時代、とりわけ強度が要求されるMTB向けのフレームには、より大きな直径を持つオーバーサイズのスレッド式ヘッドが多く使われていたものです。
強力なVブレーキなど、DAHON系の折りたたみ車はその可愛らしいフォルムとは裏腹に、古典的なMTBフレームの様式を色濃く受け継いでいるようだ・・と作者は以前から感じていましたが、このヘッド部分もそのひとつ。DAHONを起業したホン博士はアメリカの人ですし、開発段階でMTBのパーツが入手しやすかったからでしょうか?
スレッド式のヘッドセットでは、直径のインチ数の他にも考慮すべき寸法があります。スタックハイト、日本語では組幅と呼ばれるもので、簡単に言うと上下のヘッドパーツの高さの合計で表されます。
自転車のフレームの寸法は多種多様で、小柄な女性や子供向けもあれば、大柄な外人さん用では驚くほどヘッドパイプが長いものもあります。しかしスタックハイトが同じであれば、フレームの寸法に関わらず同じヘッドセットが使える、という訳です。
FDB206はざっくり測って上が約22ミリ、下が約10ミリ、よってスタックハイトは約32ミリ。この寸法に近似したヘッドセットを新しく用意する事にします。
ちなみにスレッド(Thread)とはネジ、あるいはネジ山という意味で、フォークコラムに切られた固定・調整用のネジ山を指すものでしょう。一方のアヘッド式のフォークコラムはプレーンな円柱でネジ山はありません。
ネット検索であちこち探した結果、日本を代表する自転車パーツメーカー、TANGE製のPASSAGE OVというモデルにしました。カタログ上のスタックハイトはちょうど32ミリ。
価格は送料込みで2千円弱でした。もっと安価なものもありましたが、ヘッドセットは自転車の操縦性に大きな影響を与える重要なパーツだし、そう気安く交換出来る部位でもないので、名の知れたメーカーを選んでおくに越した事はないでしょう。
色はできればオリジナルと同じシルバーにしたかったのですが、作者が検索した時には黒しかありませんでした。
交換手順は基本的にどのヘッドでも同じです。以前ESCAPE R3でやった手順を参考に、慎重に行います。
そしてベアリングの玉当たり調整をしたのち、走行チェック。
ブレーキをかけてもガタはなく、ハンドル操作もスムーズで快適。ヘッドセットって地味なパーツではありますが、操縦性に直結する重要なパーツで、これがうまく動かないと、車体が思い通りになってくれず、乗ってても楽しくないですからね。
今回の交換のきっかけは突発的でしたが、この機会にリフレッシュ出来てよかったと思います。
ここ数日、走行中にハンドルあたりから妙な音が出るようになりました。規則性があって、立ち漕ぎやハンドルを強めに引いて坂道を上がった後で、キチッ、ピキッ、と金属どうしが擦れ合うような音が響くのです。ハンドルに力を込めた時ではなく、坂道を上がった後でちょっと力を抜いている時に不意に出るので、なんとも不思議な感じです。
最初はハンドルステムの緩みだろうと思い、ステムまわりにグリスを塗ったりラッチを締め込んだりしましたが、いったんは止んだものの、また再発してきます。
そのうちこの音が、ハンドル操作と言うよりもペダルの踏み込みとほぼ同調して発生しているように感じられたので、もしかしたら音の原因はフレーム側かもしれないと考え、いろいろ試した結果フレーム中央の折りたたみヒンジから出ている音だという事がわかりました。テンションを少しきつめ(写真矢印の調整ロッドを伸びる方向に4分の1回転ほど)にセットすると、音はピタリとやみました。ハンドルステム部分をいじった時にいったん改善されたように見えたのは、これらの調整作業を部屋の中でやっていたため、外からしまい込んだり持ち出す時にフレームの折りたたみ操作もするので、ヒンジ部分の摩擦やテンションの具合が微妙に変化していたためでしょう。
オートバイでもそうですが、この手の高周波の金属音は耳でちょっと聞いただけでは出所がはっきりわからない場合があるようです。
ここ最近また車体のどこかから金属をはじくようなピキピキ音が出始めていたので、ヒンジやステムの締め付けをやり直してみましが、それでもまだ小さな音がやみません。しかもハンドルを持っていない時やペダルを漕いでいない時でも鳴る事があり、車体とにらめっこしながら一体どこだろう、と考えつつあちこちイジり回した結果、ようやく音の出所を突き止めました。
原因は前後ホイールにはめ込んであった反射器だったのです。樹脂製のブッシュの摩擦でスポークの1本にパチンとはめ込み、両隣のスポークと形成するV字の谷でもって遠心力のかかる方向に押しつけられ固定される、ごく一般的なタイプですが、このブッシュが経年劣化でだいぶゆるんできているのか、ちょっとした段差を越えた時などのショックで一時的に浮き上がり、カタカタとスポークに当たって金属的な反響音を出していたようです。
というわけで反射器を前後とも外してしまう事で解決出来ましたが、このホイールに付ける反射器は独特のサイクロイド的な光跡を描くので対自動車用としてもアピール度が高く、作者が車を運転している時でもかなり遠くから自転車の存在が確認出来るのがわかります。ですから外してしまうのはちょっと惜しいのですが、実際問題として夜間走行はそれほどやらないし、フレームやフォーク、ステーにも黄色の反射テープを貼ってありますから、夜間の安全対策はこのままでもよしとしましょう。もっとしっかり固定出来る反射器が手に入ったら、また付ける事にします。
ちなみにこの反射器の重さは1個あたり19グラムありました。500円玉で約3枚ぶん。けっこう重たいものですね。
FDB206のリアエンドには、マッドガード(泥よけ)のステーなどを取り付けるためのダボ穴が左右2個ずつ設けられています。キャリアなどの外装パーツを脱着するのに便利なものですが、この2個並んで開いているダボ穴のうち、ボルトが締め込めるネジ山があるのは上側のみで、下側は単なる穴でしかありません。おそらく製造コストの関係で、必要のない穴のネジ山加工がなされていないようです。
この穴に自前でネジ山を切ってしまえば、ステー取り付けなどがもっと便利になるはずです。さっそくやってみる事にしました。
用意するのはM5×0.8サイズのタップ(ネジ切り工具)と、それを回すためのタップ用ハンドル。
道具が揃ったら、中学校の技術家庭科での授業を思い出しつつ、潤滑油をたらしながら慎重にネジ山を切っていきます。タップがけの基本通り半回転切ったら半分戻し、また切っての繰り返しです。
このように最初から下穴が開けてある状態でも、一発目のタップを無造作に突っ込むと斜めに切れてしまって、あとでネジ穴として使い物にならなくなってしまいますから、常に板面と垂直になるよう十分注意しながら作業する必要があります。
この一連の作業は特別むつかしいというわけではないですが、ある程度の慣れは必要だろうと思いますので、初めての人は別の鉄板材に4.2ミリの下穴を開けて何度か練習するか、お店でやってもらった方がいかもしれません。フレーム本体に直接加工するわけですから、失敗したら取り返しがつきません。
これで下側のダボ穴が気軽に使えるようになったので、マッドガードの脱着もずいぶん楽になりました。ネジ切りで地肌が出た事によるサビの発生が心配な人もおられるでしょうが、ボルトを締め込む時に少量のグリスを塗っておけば全然平気です。