エアクリーナー・エレメントはエンジンの状態を大きく左右する重要なパーツ。燃費、フケの善し悪しや始動性、アイドリングの安定などに大きく影響します。作業そのものは簡単ですのでぜひトライしてみてください。
エアクリ本体は黒いエアクリーナーボックスの後ろに位置しており、ラッパのような吸気口が特徴。取り外すには、4カ所のネジをプラスドライバーで外すだけです。
エアクリのボディには取り付け方向を示す矢印が打刻してありますので、取り付ける際には必ずこれを上向きにて付けます。
ビデオテープなどのシールを使って、交換した日付やその時の走行距離を書いておくと、次回のメンテ時に役立ちます。替えたばかりのときは憶えているつもりでも、何ヶ月もたつと案外コロッと忘れているものですから。
白く明るく見えるのが、買ったばかりの新品です。
Banditのエアクリーナーは、ボックスに装着した状態で表面の色だけ見ても劣化の度合いが判別しにくく、プロのバイク屋さんでもつい見逃してしまう事があります。このように取り外した状態で光にすかしてみると汚れ具合がよくわかります。
このBandit250に使われている不織布タイプの乾式エアクリは汚れが取れにくく、エアガンでいくら吹いてもさほどの変化はないように思います。これはシリンダーヘッドから送られてくるブローバイガスや、キャブからの吹き返しによる油分の汚れが影響しているせいでしょう。作者がいつも使っている感じでは、走行5千キロ以上および年1回は点検し、汚れや劣化がひどいようなら新品に交換、もしくは洗浄するようにしています。
ちなみに後期型用のエアクリーナー(パーツNo.13780-11DAO)はラッパ部分の長さが初期型用より3センチほど短く、内部にもややパイプが長く伸びていますが、両者ともボディ部分はほとんど同じモノ。別パーツでラッパやパイプがくっつけてあるだけなんですね。この手法でGSF1200やイナズマ、インパルスなどにも同じエアクリ(ボディ)が使われているようです。
それでは初期型用のエアクリが後期型Banditにも使えるかと言うとさにあらず、後期型のエアクリーナーボックスにはエアクリ吸気部の上から樹脂製のカバー(開閉式のフタ)をするようになっていて、ボディサイズは同じでもラッパが長い初期型用エアクリではカバーが閉められず、そのままでは付かないのです。
この後付けラッパをペンチやタガネを使って引き剥がそうと試みた事がありますが、すき間なく嵌めこまれた上にスポット溶接で数カ所くっつけてあり、少々の事では剥がれない頑固な固着力で逆に薄い地金のボディ側がボコボコになる始末でした。ここは力まかせで引き剥がすより、金切りノコでバッサリ切断した方がずっと早くて確実のようです(実際に、初期型用のエアクリを切って、後期型に無理やり装着した例があります)。
後期型Banditのエアクリーナーボックスにあるカバーを付けずに走ると、1万回転以上の高回転域でエンジンが吹けない症状が出た、という報告がBands!の掲示板上でいくつか見受けられました。
これはおそらくカバーを外す事によって吸気抵抗が小さくなりすぎ、負圧が不足してキャブのピストンバルブがうまく動かなくなったためではないでしょうか。初期型でもエアクリーナーを付けない状態で走ると、ほぼ同様の現象が見られる事がありますから、後期型のこのカバーはエアクリの吸気口とのすき間を狭く一定に保つ事で、エアクリーナーボックスからキャブ内に一定の負圧をかけるためのものではないか?と推測されます。
これらの事から、逆にラッパの短い後期型用エアクリは、初期型の車体には何の加工もしないで付けられますが、今度はラッパが短いぶん吸気部分とタンク内壁との空間が広がりすぎ、後期型でカバーを外したのと同様の吸気過大症状が出る可能性がありますが、これはまだ実験していません。
後期型はこのフタによりタンクの形状や装着のあるなしに関わらず、適正な吸気圧が得られるわけ。タンクを降ろしたままでも細かい調整が可能になり、さらにタンク設計の自由度も上がるから、よりデザイナーの思惑にそったスタイリングが得られるという狙いがあったのでは?なんて想像しています。