生活自転車には必需品のマッドガード、つまり泥よけですが、ESCAPEシリーズにはちゃんと専用の純正パーツが用意されています。一般的な造りのボルトオンと、工具なしで脱着可能なクイックリリースの2タイプ。
普段はガードなしで軽快に走り、雨模様になったら素早く装着出来るのがいいだろうと考え、クイック式を選びました。
GIANT ROAD Quick Release Fenderという品で、価格は税込5,250円。
ステーの長さに汎用性を持たせてあるらしく、そのまま組んでもうまく収まりません。自分の乗っているフレームサイズなどに合わせてステーをカットする必要があります。
ステーは直径3ミリほどもある硬い針金で、電気工作用の小型ニッパー程度じゃ歯が立ちません。大型の電工ペンチかワイヤーカッター、あるいは金ノコが必要です。
フレームとステーの固定には特殊な形をしたゴム台座をバンドで巻く方式。
バンドのポッチのはめ込みが固く、ちょっと力が要ります。
さて、装着して実際に使ってみた感想ですが、これはちょっとイマイチかな・・。
最大の理由は、その製品名に反して脱着が全然クイックじゃない点です。片側に穴あきバンドが2本ずつ前後合計で8本ありますが、スムーズにはめにくく、しかもゴム製の台座の座りが悪くて確実性に欠けます。
タイヤの中心とフェンダーの中心を毎回合わせるのも大変。せっかく合わせても走行中の振動でマッドガードが上下左右にカタカタ揺れて落ち着きません。この製品は状況に応じて簡単に脱着出来るのが売りのはずなのに、正直、一度セットしたらもう触りたくないですね。
肝心のマッドガード本体の長さも足りません。後輪の端を覆う長さがないと、背中を保護する泥よけとしては不完全です。
というわけで、これを買ったのは失敗でした。
前回はちょっとヤラれたので、今度は確実そうなボルトオン式の方を買ってみました。GIANT ESCAPE R Fender(Bolt-on)という名で、価格は同じく税込5,250円。
ごく一般的な作りのマッドガードで、クイック式に見られた小細工は一切なし。ママチャリと同じ頑丈そうな金属ステーで、フレームのブリッジやダボに設けられているネジ穴を利用してがっちり固定されます。
取り付けには工具が必要ですが、所要時間は先のクイック式と大して違いません。しかもほとんど調整なしできれいに中心にまとまり、走行中も大きくブレる事はなく快適。後ろ側の長さも十分です。
リアブレーキの可動部分が当たらないよう高さを加減する必要がありますが、取り付け時に注意すべき部分はそこくらいです。
フレーム側のダボ穴(前2カ所、後ろ3カ所)はすべてM5、つまりボトルケージ取り付け用のネジ穴と同じサイズです。
フロントフォーク中央部分に通すボルトのみM6サイズで、ワッシャー2枚とスプリングワッシャー1枚を使った場合で45ミリ以上の長さがあればOKです。
ESCAPE R3はアルミ製フレームですが、これのネジ穴に鉄製やステンレス製などフレーム材と異なる材質のボルトを使うと、異なる金属との間に発生する電位差腐食という現象によって錆が発生しやすくなり、最悪の場合内部で膨張・固着して回せなくなる事がありますので、ネジ部分にグリスを薄く塗布するなどの対策をします。
この二種類のGIANT純正マッドガードには、どちらもブレーキ部分から前側は全くカバーされないという欠点があります。よってシートチューブからフロントディレーラー周辺は水びたし、場合によっては泥だらけになってしまう事も。
これらのマッドガードはあくまで簡易的なものなので、しょうがないですね。泥まみれで帰ったら水道水でジャブジャブ洗い、しっかり注油をしておきます。
R3のヘッド部分を定期的に分解して清掃・グリスアップするたび、なぜか下側のベアリングだけが毎回ひどく汚れていて、上側に比べてグリスの残りも少なくなっている点が気になっていました。最初は、上側よりも荷重がかかっていて、しかも下向きに解放された構造だから単純に抜け落ちやすいのだろうな、くらいにしか思っていませんでした。
しかしよく観察してみると、ヘッドの上側はゴムのカバーでほとんどすき間なく覆われているのに対し、下部は横から見るとけっこう大きめの隙間があって、内部の金属リングが見えるほど。ここからホコリや雨、そして何と言っても真下にある前輪がはねた泥水がダイレクトに叩きつけられるせいで余計な水気が侵入し、泥や細かい砂でジャリジャリになってしまうようなのです。
晴れた日でも水が流れて部分的に濡れている路面は珍しくないので、水はねは雨の日だけに起きるとは限りません。これを防ぐためのカバーをヘッド周辺に付けてあげれば、ヘッドベアリングの汚れが最小限に食い止められるかもしれません。
とりあえず何かでヘッドの下部を覆ってみる事にしました。ビニールを裾留めバンドで巻いたり、トイレットペーパーの芯を切って固定してみたり。さいわいフォーク側よりもヘッドパイプの方が若干太くなっているので、単純に円筒型のカバーをぐるっと巻き付けてもフォークの動きを阻害する事はなさそうです。
今後も材質や形状を工夫しつつ、しばらくテストを続けてみようと思っています。
タイヤの泥はねを主に防ぐ目的で、薄いプラ板をT字状に切り、フォーク中央の穴にボルトでとめた小型のマッドガードを付けてみました。超小型のビキニガードとでも呼びましょうか。
しかしこれは当たった水が周囲に飛び散ったりして、効果はもうひとつでした。それにこの方式だと上側から若干入ってしまうし、ヘッドの全周を覆うにはちょっと向きませんね。
耐水性があって、丸いヘッド部を覆いやすく、あまり目立たない薄手の素材という事で、パイプ車庫に使っていた古いテント生地を細長く切って、両面テープで周囲にぐるっと貼ってみました。本当はフレームと同じ青色がよかったのですが、手元にあったのは緑色のみ。よくあるブルーシートの生地だと薄っぺらすぎてイマイチ形が整わないし、色もなんだか安っぽかったのです。
色合いのセンスはさて置き、異物感も最小限ですっきりとしました。ガード効果も期待出来そうです。しかも廃材利用なので、もし走行中に剥がれ落ちてしまっても惜しくないし、作り直しも容易でしょう。
濡れた路面を走る機会の多い梅雨まっただなか、久々にヘッドを開けてみました。カバーの効果を期待していましたが、下側の隙間から細かい砂がどうしても入り込んでしまうようで、ベアリング周辺はかなり汚れていました。
しかしながら内部のグリスはまだ十分残っていて、水はねによるグリス流れはある程度防ぐ効果があったようです。テント生地を少し幅広にして、もう一度セットしてみる事にします。
同じテント生地で少し幅広に切ったものを装着してしばらく走ってみましたが、泥砂の大量侵入はほぼブロック出来るようになりました。
しかしこれをやったからといって大雨の中を走ってもメンテが不要になった訳ではなく、例えば上側のヘッドベアリング部にも水や汗が入り込み、抜け道がないため水が溜まったままで、数日放っておくだけでてきめんにサビが出ます。ホイールハブのベアリングもその都度チェックが必要でしょう。やはり過酷な条件の中を走った後は、愛車の手入れは欠かさないようにしたいものです。