最近のバイクは電気式のスピードメーターを使っているのが多いようですが、初期型Bandit250はシンプルな機械式。フロントホイールの左側にギアボックスがあって、そこからメーターワイヤーが伸びています。
ワイヤーと言っても回転を伝達する目的なので、引っ張り方向に力のかかるアクセルやクラッチワイヤーとは少し造りが異なるものが入っています。よほどボロッちいのでない限りそうそう切れる事はないだろうと思っていたのですが、年式の新しいBanditでもある日突然メーターが動かなくなって、調べてみたらワイヤーが切れていたというケースは意外とあるようです。
まずメーターの裏に入っているワイヤーアウターの固定ノブを回して外します。このままバイクをゆっくり押してみて、ワイヤーがちゃんと回転するかを見ましょう。それから中のワイヤーを指で引っ張ってみてください。スルスルと出てくるようなら内部で切れている証拠ですので、新品に交換する必要があります。切れていない場合でも、ギアボックスやメーター自体の故障が原因という事があります。
しかしワイヤーのメーター側はこのように簡単に外せますが、問題はホイール側。たかがワイヤー1本外すのにメインシャフトを抜かねばならないんですよねぇ・・。
ワイヤーはフロントホイール左側にあるギアボックスに入っています。このワイヤーを固定しているプラスネジがなぜか奥の方にあるので(ワイヤーの盗難防止策か?)、このままではドライバーが差し込めませんし、ネジを抜き取るだけのスペースもありません。
というわけでセンタースタンドをかけ、エンジン下部をジャッキアップしてフロントホイールを外します。
※ホイール脱着の手順は特に書きません。これを自分でやる自信がないなら、バイク屋さんに持って行った方が無難です。
ギアボックスからワイヤーアウターを外すと、メーター側と同じく角断面に成形されたワイヤー先端が顔を出します。こちら側には抜け止めのカシメが入っていますが、切れる時はこのカシメより上側の場合が多いようです。
カシメ側から引っ張るとワイヤーを抜き取れますので、注油や掃除をするのも自由自在です。
ギアボックスを直接手で回してみると、意外に固くて手応えがあります。しかしバラして注油をしようにも非分解構造のようで、リングを外してもここまでしかバラせませんでした。すき間からスプレーグリスなどを注入してみたところ多少は軽くなりました。プレート裏には防水のためかゴムのリップがあり、ギアボックス自体の材質も強化樹脂?のようですので、樹脂類を侵すCRC556スプレーは使わない方がいいでしょう。
この内部の歯車が潰れてメーター不動になった例もありましたので、ワイヤーが切れてなかった場合はこちらもチェックしてみてください。中途半端に摩耗している場合など、プレートをグッと押しつけると一時的に回り出す事もあるので、押したり引っ張ったりして回してみた方がいいでしょう。非分解ですので部品交換はギアボックス丸ごとになります。
回転プレートやワイヤーアウターの差し込み部には防水のためのOリングがありますので、組み立て時にはグリスを適量塗布しておきましょう。
2005年8月15日追記 この黒いギアボックスは樹脂ではなくアルミの鋳物だという情報を見つけました。このリンク先にはスピードメーターのデジタル化の情報も豊富にありますので、興味がある方はぜひトライしてみてください。
2011年6月3日追記 ワイヤー交換をする時、「ホントにこれ鋳物だろうか?」とちょっと気になったのでカッターナイフで削って(!)みたら、簡単に削れていきます。やっぱりこれは樹脂製だったようです。
走行中ふとメーターを見たら、針が真下を指したままピクリとも動かなくなっていました。すぐに路肩に停めてメーターの後ろからワイヤーアウターを外し、中のワイヤーを上に引っ張ってみたらスルスルと抜けてきます。よってワイヤー切れと判断しました。
実はこれが作者にとって初めてのワイヤー切れ体験となりました。これまでに走った距離は76,550キロ!ずいぶん長持ちしてくれたものです。
純正パーツが届くのを待って、庭先で交換作業。今回はワイヤーの部分だけ脱着出来ればいいので、フロントホイールのシャフトを抜いたら、中心をちょっと後ろにずらすだけでOK。
交換したあと古いワイヤーをチェックしてみたら、切れていたのはワイヤー下端から約20センチの部分で、ちょうど立ち上がって曲がっているあたりでした。やはりこういう部分にはストレスが蓄積しやすいのでしょうね。