長時間オートバイに乗っている時、クルマのカーコンポのようにラジオや音楽が聴けるといいな、と思った事はないですか?朝早く出発した長い日帰りツーリングの退屈な帰り道などで、耳元で鳴る大好きな音楽があると、とてもよい気分転換になって、居眠り運転防止にも役立ちそうです。また最近ではメールやツイッター等の着信を随時知りたいとか、ナビゲーションソフトの音声案内を聞きたい、なんて人も多いかと思います。
オートバイでもクルマでも、両方の耳の穴をピッタリとふさぐ構造のイヤフォンやヘッドフォン的なものを付けて運転すると違反行為になりますが(厳密には条例レベルで、都道府県によっても対応が違う)、ヘルメット内部に小型スピーカーを内蔵させる方法なら外界の音も聞こえますし、何より大手メーカーでも堂々とキットを販売しているので、個人的に作っても特に問題はなさそうです。
走行する時は、外界の音をさえぎらないようボリュームを調整するなどして、安全に十分注意して使用してください。
経験上、落語やラジオのPodcastなど、内容そのものに聞き入ってしまうソースは運転の妨げになり、非常に危険です。
まずヘルメットの内部空間にスピーカーを仕込むだけのスペースがあるかどうかを確認します。
作者がメインで使っているOGK製テレオスIIIはいくらか余裕がありましたが、もうひとつのMHR製システムヘルメットG-MACは内装が厚くて耳たぶが常に壁に接しているくらい狭く、スピーカーユニットを割り込ませる余裕がありませんでした。
取り付ける目星が付いたら、あとはスピーカーやヘッドフォンのユニットをどうにかして貼り付ければ、ハイ終わり。実に簡単なもんです。
とはいっても、まずヘルメットの内装はたいていフニャフニャしていて表面もデコボコだったり毛羽立ってたりして、強力な両面テープを使ってもそう簡単にはくっついてくれません。しかもメットの中は呼吸や汗の湿気が渦巻いていて、内装そのものも時々は外して洗わなくちゃなりません。そんな所に電気スピーカーがガッチリとくっついていたら、いちいち剥がしてまた張り直すのも面倒くさいものです。
試行錯誤の末、ヘルメットのイヤーカップパーツに直接縫い付けてしまう方法を考えました。たまたま手元にあったパナソニック製RP-HSW50という耳かけ式ヘッドフォンは、外側の樹脂カバーが爪によってはめ込まれて固定されており、少し力を入れてパカッと外すと、内部のスピーカーユニットが丸ごとフリーになります。この構造を利用して樹脂カバーだけをヘルメット側に固定し、後からユニットをパチンとはめ込めば、ズレもなくしっかり固定され、また外せばそのまま水洗いも可能というわけです。
まず両面テープなどで仮固定しつつ耳たぶに当たらないような位置を探し、決まったらキリやドリルで小さな穴を4ヶ所開け、極細の針金か釣り糸をわたして裏側で縛ります。
左右のユニットをつなぐコードは内装の内側を通し、ジャック部分もイヤーカップのすき間から外にうまく出しておきます。
ただ、この手のヘッドフォンのコードはかなり細いので、オートバイの強烈な走行風に長時間さらすのはちょっと厳しいかもしれません。そこで百円ショップで売っている短めの延長コードを利用し、途中で継ぎ足して外側に出る部分だけを別のものに替えておくのがいいでしょう。純正の細いコードを切ってしまったらヘッドフォンごと買い換えなくてはなりません。
ちなみに上記で使ったRP-HSW50は、耳かけ部分の樹脂パーツを根元から切断してあります。切らなくても平気ですが、取り付け位置の自由度がやや制限されます。
ヘルメット スピーカー のキーワードで検索すると、ダイソーなどで売っている数百円の安価なヘッドフォンを分解し、内部のスピーカーユニットを取り出して使用している例が多いですね。その場合でも粘着テープに頼らない縫い付け法はかなり有効かと思います。この手のスピーカーで一番嫌なのが、ヘルメットをかぶったり脱いだりする時にポロッと外れたり、中でズレて耳にゴロゴロ当たったりする事。特に走行中ズレると気が散って危険ですし、高速道路上では何キロもそのまま走らなくてはなりません。たかがスピーカーですが、安全のためにも取り付けには万全を期すべきでしょう。
最近は携帯電話や音楽プレーヤーにもBluetooth技術を用いたワイヤレス機能が備わっているものが多いですね。走行中、音源装置をどこに置くかにもよりますが、オートバイのタンクバッグなどに入れて充電しながら使う場合、出来ればヘルメットとつながるコードがない方が自由に動けます。特にセルフスタンドでガソリン補給する時にいちいちコードを抜き差しするのが面倒。
これまた作者がたまたま持っていたBluetooth対応ワイヤレスオーディオレシーバー、ソニー製DRC-BT15を使ってワイヤレス化してみました。とりあえず左側のイヤーカップの前側にカッターで小さな切り込みを入れ、レシーバーに付属のネクタイピン状フックをさし込んではさんであるだけ。ガッチリと固定されてはいませんが、チンガードの開け閉め時にレシーバー本体がやや干渉するので、むしろこの程度が好都合です。視野もほとんど妨げませんし、その気になればオンフックボタンを押して走行中の通話も出来るかも・・いや、風切り音がうるさすぎて会話は無理かな?。
バッテリーの駆動時間は5〜6時間くらいですが、日帰りツーリングにはこれで十分ですね。
BluetoothオーディオレシーバーのソニーDRC-BT15はもう生産終了している古い機種ですが、性能的に特に不満もなく、使いやすくてお気に入りのひとつです。
ただし充電をする際にはACアダプター接続の充電スタンドが必要で、家庭用コンセントのある場所でやるのが前提。つまりモバイル運用に対応し切れていない面があります。USB端子か、せめてシガーソケットに突っ込める電源アダプターでもあれば、一泊二日以上のキャンプツーリングなどで使いやすくなるのですが、あいにくそういった周辺機器はソニーからは発売されていません。
このあたりの情報をネット検索していたところ、DRC-BT15(Bluetoothレシーバー)をUSBで充電したい!というそのものズバリなサイトを見つけました。今回、このサイトを参考に充電スタンドのUSB化にトライしてみました。
これはメーカーが推奨している方法ではありません。これをやって、もし何らかのトラブルや重大事故が発生したとしても、作者は一切責任を負いません。すべては作業者個人の責任において行動してください。
DIYの心得と注意
まず純正のACアダプターは出力が3V、最大1Aと表記されています。末端のDCジャック部分で実測してみると確かに3.32Vという値を示しました。
いっぽうUSB端子から取り出せる電圧は規格上5Vと決まっており、1.5倍もの電圧をレシーバーにかけるのはまずいように思われます。
ところがレシーバー本体に直接接触する専用端子の電圧を測ってみると5.01Vありました。つまり内部で1.5倍昇圧されていたのです。
仕様書によるとDRC-BT15に内蔵されているバッテリーは3.7Vリチウムイオンなので、3V少々のACアダプター電圧ではまともな充電効果は期待出来ません。そのための昇圧回路と考えられます。
でもそんな回路をわざわざ設けるくらいなら最初から5V出力のACアダプターを付けておけば済むのに、と思う所ですが、まあそこはメーカー側に何らかの思惑があったのでしょう。たとえば電圧の大きなACアダプターを調達するより昇圧回路を組む方が安上がりだったとか、パッケージングを可能な限り小型軽量にしたかったとか・・。
この手の充電回路には、ある一定の電圧を大きく超えないようにする定電圧制御が働いていると予想されます。ここにUSB端子からの5Vを入力し、専用端子から充電に適した5V前後の出力が得られれば、単純にコードをつなぎ替えるだけでUSB化が実現出来るかもしれません。もし5Vを大きく超えて昇圧されるようなら、充電スタンドそのものをバラして回路を取り去り、USBケーブルを専用端子に直結させるという手もあります。
ちなみに後継モデルのDRC-BT30やDR-BT63EXでは当たり前のようにUSB充電対応となっています。内蔵バッテリーもみなDRC-BT15と同じ3.7Vリチウムイオンバッテリーを使っており、ひょっとしたらレシーバー本体の基本構造はそれほど変わっていないのかもしれません。
というわけでさっそくやってみました。純正のACアダプターのDCジャックをバッサリとちょん切り、あり合わせのUSBコネクターとつなぎ合わせ(Dock部分の接触不良で退役したiPod shuffle用ケーブルを流用)、ハンダ付けしてビニールテープや収縮チューブで処理して完成。モバイル用途なら長さはそんなに必要ないので、全長20センチ程度にまとめました。
USBの芯線の色分けはたいてい赤がプラス電源5V、黒がGNDになっていますが、念のためテスターによる導通・極性チェックはしっかりやっておきます。残り2本のデータ線は一応安全のためショートしないよう段差を付けて切り飛ばし、邪魔にならないようにまとめてテーピングします。
作業を終えて電圧を測定してみました。
USBからの入力 | 充電スタンドの出力 | |
---|---|---|
Apple iMac 2007 mid (キーボード両端USBソケット) |
5.03V | 5.00V |
ELECOM USBハブ (ACアダプター付き) |
5.20V | 5.15V |
車載用USBシガーソケットアダプター | 5.11V | 5.08V |
eneloop モバイルブースター KBC-L27D |
4.93V | 5.00V |
5V前後の入力があった場合、昇圧はほとんど見られず、むしろ5V出力を維持しようと抑制する働きがあるようです。
最終的にパソコンおよびモバイルブースターにて1回ずつテスト充電してみましたが、空っぽの状態から2時間半程度で満充電になるときちんと自動でストップし、駆動時間も今までと変わらずで、純正ACアダプターの時とまったく同じ動きをしてくれました。これで今後は車載モバイルで使う機会がグッと増える事でしょう。
純正アダプターを切り飛ばすのに抵抗を感じる人や、つなぎ替えるのがめんどくさい人には、DCジャック仕様のUSB電源ケーブルも市販されています。購入時はDCジャックの形状に注意してください。DRC-BT15の充電スタンドには、最近の電子機器によく使われる極性統一型プラグと呼ばれるタイプの#1、外径2.35ミリ内径0.7ミリが適合します。