Bandit250の頭脳、イグナイターです。ついにこいつをバラす時がきました・・。
と言っても別に中身が壊れたわけではなく、分解手順の確認と写真撮影のために、あえてバラしてみたものです。
コネクターを抜き、車体にうやうやしく固定してある台座を外します。
ここのコネクターは異様に固いのでちょっと苦労するかもしれません。
大きさはタバコの箱をひとまわり大きくしたような感じ。黒い樹脂製のケースに基盤が収まっています。
ケースはバスタブ型で、コネクターの方向に解放されていますから、基本的にはコネクター側に引っぱれば抜けるはずですが、これがびくともしません。なぜなら振動対策のため、シリコンゴムで基板とケースを固着させてあるからです。
というわけで、いつもの外科手術を始める事にします・・。
プラ板を切るのに特化したプラカッターを用意し、金尺に当てて裏側にコの字に切れ目を入れてゆきます。側面の板の厚みを考慮し、縁から数ミリあけて切ってゆきます。
きれいに切るコツは、焦らない事。無理な力を入れる事なく、軽く何度もなぞってジワジワと筋を深くします。
溝が深くなって刃の先端が内部に突き抜けたら、そこから先はプラカッターではうまく切れません。円形の刃を転がして切るサークルカッターが重宝します。
切り抜けたら、フタを外せば基板が顔を出します。想像していたよりはシンプルな作りですね。しかし基板を取り出そうとするなら、この状態でもまだ不可能。固定用シリコンゴムが基板の裏側までたっぷりと回っていたからです。
模型工作用のレザーソーまで持ち出して、さらに分解。三方向のパネルをはぎ取ったところで、やっと基板を取り出す事に成功しました!
(うーむどうやって元に戻そうか・・^^;)
製造後20年以上もたっている割には、きれいなプリント基板です。ケースの防塵・防水機能がよほどしっかりしていたのでしょう。
車体に搭載された状態では、このパーツのくっついている表側が下向きになります。
振動でパーツが破損しないよう、背の高いコンデンサ類もべったりと固められています。
もしイグナイターが故障したら・・複雑な電気回路の修理なんて素人には不可能、丸ごと交換するか、代替品が入手出来なければ廃車にするしかない・・なんて思いがちですが、基板上に5つある電解コンデンサーを新しいものと付け替えたらエンジン不調が治った、という奇跡のような事例が何件か報告されています。電解コンデンサーは電子部品の中では比較的寿命が短いとされるパーツで、経年劣化が出やすいためでしょう。
ただしこれをやるには電子パーツを扱う技術と経験、そして大切なバイクの心臓部を生かすか殺すかの度胸が必要なのは言うまでもありません。
1992年に行われた馬力規制以降のモデルでは、イグナイターにも仕様変更があったようで、コンデンサーや抵抗などのパーツの配置やプリントパターンが微妙に異なっており、ICの型番にも違いが見られます。
(40馬力型イグナイター写真資料提供・Nさん)