長期間放置されていたバイクはタンクの底に腐ったガソリンやサビがたまって、ドロドロの状態になっている場合が多いです。燃料コックはこのタンクのいちばん底にあるわけで、これまた外見からは想像もつかないようなコトになっていたりします。
分解するのは簡単ですが、もし内部のパーツを傷つけたり無くしたりしても、純正パーツではコックASSY単位でしか販売されていません。タンクとの間にあるガスケット(ゴムのリング)も脱着する時はなるべく新品に替えた方がいいですね。ここは単品でも入手可能です。
回転シャフトの留め金以外は普通サイズのプラスドライバー1本でバラせます。
留め金の表面には、本来Bandit250に存在しないOFF位置の刻印も見えます。このへんは他の機種と共用しているパーツなのでしょう。
(シャフト外縁にあったOリングが紛失していたので、この写真には写っていません)
中にある白い樹脂のコマでON(通常位置)とRES(リザーブ)の経路を分けるようになっています。いちばん奥に入っているらせん状の薄い板バネは、PRI位置の時に燃料弁を内側から押し開けて、負圧のかからないエンジン停止時でもガソリンを流す働きをします。デリケートなパーツですから、無理に引っぱり出さない方がいいでしょう。
コマと回転シャフトは合わせる向きが決まっており、はめ込みミゾの幅が微妙に変えてあって正しい向き以外では入らないようになっています。
タンクから落ちてきたガソリンは、コマの側面に開けられた丸い穴に流れ込み、板バネの奥にある負圧式の燃料弁を通ってキャブレターへ送られます。大きい穴が通常走行時に使うONとRES用で、反対側に開いている小さい穴が強制流入のためのPRI用です。
裏側の4つのビスを抜くと負圧弁が顔を出します。この密閉空間をエンジン(2番インレットパイプ)からの吸気で引っぱり、ダイヤフラム(ゴムの膜)がへこむ事によって、裏側にある燃料弁が開きます。
2014年2月17日追記 負圧パイプの側に付いている小さな穴が4つ開いた白くて丸い樹脂パーツは、空気の逆流を防ぐ逆止弁で、中央から出ている黒いヒゲのようなものは裏側にはまっているゴム弁の一部。パイプを口でくわえて息を吸ったり吐いたりしてみると、吸う方向にしか空気が流れないようになっているのがわかります。
逆止弁はキツキツにはまっているので、相当力を入れてこじらないと抜けないです。しかもゴム弁は経年劣化で弱っていますからつぶれやすいです。作者は勢い余って内部のゴム弁をつぶしてしまいました。口で吸ってみて空気の流れが極端に悪いのでない限り、この部分には触らない方がいいでしょう。(情報提供・Tokyo.Banditさん)
燃料弁には小さなOリングがあるだけです。こいつがひび割れたりタンク内からのわずかなゴミが引っかかったりすると、エンジン停止時でもガソリンが流れっ放しになってオーバーフローの原因になります。写真は2年放置されてガチガチに固まっていた内部を、リューターで削ってなんとか使える程度に修正したものです。
ストレーナーの樹脂パーツは単に差し込んであるだけです。燃料の入り口はONとRESで高低差がつけられており、ON側が6cmほど高め。この差がリザーブ量となります。PRIもRESと同じ口から流れます。根本の段差は差し込む向きを間違わないための配慮でしょう。
一応網状のフィルターで囲まれていますが、サビの粉じんなど細かいゴミを完全阻止する事は出来ないようです。先の方にはどういうわけか小さな穴も空いています。
パーツNo.及び価格
※パーツNo.及び価格は2010〜2013年時点での情報です。
切り替える時はこのようにきっちりと90度ずつ動かさないと、コマの穴がきちんとガソリンを流せなくなります。中途半端な位置で止めてしまうと通路が狭まってガソリンの流れが滞ったり、所望の通路から得られずに思わぬトラブルを招く事も考えられます。